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「神も仏もない」濁流、息子抱く妊婦までも 福岡・朝倉 遺体で発見か

7/8(土) 7:19配信

西日本新聞

 新たな命の誕生を待ち望んだ妊婦までも、濁流は奪っていくのか。九州北部を襲った豪雨から3日目の7日、自衛隊や警察などによる救出、捜索活動は広範囲で行われた。被災状況は徐々に明らかになり、住民たちは変わり果てた故郷にぼうぜんと立ち尽くした。まだ孤立した集落もある。「この先、どうすれば」。見上げた空には、黒い雨雲がなおも垂れ込めた。

【動画】もの凄い勢いで濁流が道路にまで流れ込む様子(JA田川彦山出張所付近)

 5日の豪雨被害発生から孤立状態が続いていた福岡県朝倉市黒川。7日朝、自衛隊による捜索がようやく始まり、新たに3人の遺体が発見された。黒川と佐田を合わせた高木地区は、周辺からつながる道路が土砂や流木で寸断され、多くの住民が孤立していた。自衛隊の捜索は難航を極めた。

 7日午後5時ごろ、朝倉市の中心地にある甘木公園には自衛隊のヘリで救出された高木地区の住民が次々に降り立った。そんな中、毛布にくるまれた遺体が2台のストレッチャーに乗せられ運ばれた。

 「神も仏もないのか」。様子を見ていた女性は涙を流し、周りの人たちもハンカチで目を覆った。近くにいた男性によると、3人は親子で60代女性と20代の娘、孫の男児といい、娘は妊娠中だったという。

 男性が消防団から聞いた話では、3人の自宅は鉄砲水で流され、60代女性は自宅2階で、娘は男児を抱きかかえた状態で1階から見つかったという。「娘さんは近く子どもが生まれる予定でおなかがだいぶ大きくなっていた。一気に3人の命が奪われるとは。旦那さんの気持ちを考えると言葉もない」

 50代の農家女性は「娘さんはJAに勤めていて野菜を担当していた。1カ月前に『お産に入るので休みます』と話したのが最後の会話だった。運ばれてくる姿を見たら、もうたまらん」とやりきれない表情で語った。

 近くに住む男性は「娘さんは別の場所に住んでおり、出産のために帰郷していた。少し前に子どもと散歩していた姿を見た。こんな目に遭うとは」と声を詰まらせた。

 高木地区は市の中心部から少し離れた山あいにある地域。市によると、人口は371人。自衛隊は地区のコミュニティーセンターそばのグラウンドにヘリコプターを着陸させ、随時救出した。

=2017/07/08付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:7/8(土) 11:31
西日本新聞