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バブル超えの銀座地価「ハガキ1枚の大きさで約60万円」 今後の見通し

7/9(日) 15:10配信

ZUU online

2017年7月3日に国税庁が発表した2017年分の路線価(1月1日時点)によると、日本一地価が高い場所として有名な東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前は1平方メートル当たりの地価は4032万円となり、過去最高だったバブル期(1992年)の3650万円を大きく上回った。

全国平均も前年比で0.4%のプラス、2年連続の上昇となった。東京オリンピック・パラリンピックに向けた再開発や訪日外国人旅行客の増加による消費の高まりが背景にあるとみられる。ただ、都心の地価上昇に一服感を指摘する不動産関係者の声や研究機関のデータもあり、地価の上昇傾向が続くか、またかつてのバブル期再来のような動きになる可能性は低いかもしれない。

■インバウンドと五輪用再開発が牽引

路線価は主要道路に面した土地の1平方メートルあたりの標準価格(1月1日時点)を示し、相続税や贈与税の算出基準となる。2017年分の調査地点は約33万3千カ所で、国土交通省が公表する公示地価(約2万6千カ所)より対象地点が多いため、土地の相場をより詳細に把握できるのが特徴だ。

今回の発表の目玉はやはり、銀座の地価がバブル期超えの過去最高額を記録したことだ。「鳩居堂」前に加え、いずれも近隣にある2016年に開業した商業施設「GINZA PLACE(銀座プレイス)」前、老舗百貨店「三越銀座店」前、「和光本店」前の4地点が4032万円で同額1位となった。これはハガキ1枚分にすると約60万円になる。

銀座は現在、再開発が活気づいている。松坂屋銀座店跡に誕生した「GINZA SIX」、東急プラザ銀座、「プランタン銀座」がリニューアルした「マロニエゲート銀座2&3」……。このほか、免税店やドラッグストア、ユニクロやZARAなど国内、海外の若者に人気のファストファッションが次々と出店していて、テナント賃料の上昇が地価を押し上げているようだ。

銀座以外では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、再開発が進む地域では地価の上昇が顕著だった。都内では東京駅や渋谷駅周辺で大規模再開発が行われているが、最近、特に注目されているのが港区の虎ノ門エリアだ。

東京メトロ日比谷線の新駅が作られるこのエリアは各国大使館や外資系企業が多く、国際的ビジネスの拠点として注目から去年よりも10~15%の上昇が見られた。「虎ノ門ヒルズ」に続き、オリンピック前には事務所やホテル、共同住宅や店舗が入る超高層ビル「東京ワールドゲート 虎ノ門トラストタワー」が完成する。

■市街地価格指数から見える伸び率鈍化

この地価上昇傾向は今後はどうなるのか。興味深いデータがある。

一般財団法人「日本不動産研究所」は今年5月23日、今年3月末時点の「市街地価格指数」を発表した。この市街地価格指数とは全国主要223都市の約2000地点を定点として地価を鑑定評価し、指数化したもの。2000年3月末を100として、比較できるようにしている。

それによると、東京区部、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の6大都市の全用途平均の変動率は1.3%上昇、東京区部の上昇率は1.1%で、これらはいずれも2016年9月の前回調査と同じ(±0)だった。三大都市圏で見ると、最高価格地は東京区部で3.1%上昇(前回4.6%上昇)、大阪圏2.1%上昇(同1.9%上昇)、名古屋圏0.7%上昇(同1.2%)となっている。

今度は用途別に見てみよう。東京区部は商業地が1.4%(前回1.5%)、住宅地が0.6%上昇(同0.7%上昇)、工業地が1.8%上昇(同1.3%上昇)となっている。

この数字から、「上昇傾向が続いている」と評価することも確かにできる。ただ、半年前の前回比に着目すると、全用途平均の大阪圏と東京区部の工業地以外はすべて、上昇幅が小さくなっていることが分かる。つまり「伸び率がピークアウトしている」のだ。

■バブルはもう来ない? 今後の見通し

こうした動きから、半年後、1年後の市街地価格指数や1年後の路線価は上昇してもその上げ幅はさらに小さくなることが見込まれるのではないだろうか。

東京オリンピック・パラリンピックに向けての再開発と来日外国人向けの出店やオフィス賃貸需要が上昇傾向を支えることは確かだが、一方で、過度な利回りの低下を懸念する声もあることも理由の1つに挙げられる。

7月4日付の日経新聞電子版では不動産サービス大手のディレクターの指摘として、「地価の過熱感から都心では今後、上昇率は鈍化すると予想される。年明けから賃料水準は上昇しきったとの見方もある」との意見を紹介している。

地価の上昇は賃料や固定資産税の増加に直結している。銀座には高級店ばかりではなく、庶民的な飲食店や単価の低い和菓子や衣料品を売る店も多い。いたずらに地価が上がればこうした薄利多売の小売店の収益圧迫になる恐れがあるため、銀座関係者は動向を警戒している。

ただ、7月3日付の日経新聞夕刊記事で、みずほ証券の研究員が、バブル期に地価が上昇したのは短期の転売益が要因だったのに対し、「実需に即している」と指摘していた。銀座は再開発まっさかりで、LEDが以前より華やかに通りを彩ってはいるが、歩いていても、かつての浮き足だった雰囲気は感じられない。かつてのような無茶なバブル再来はないとみるのが自然かもしれない。(フリーライター 飛鳥一咲)

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最終更新:7/9(日) 15:10
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