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今年は“底上げ型” 識者が語る「ラム肉ブーム」の最前線

7/9(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 羊肉がブームだ。「イオン」などでは先月から本州と四国の全店で売り場面積を2~3倍に拡大。ラム肉を押している。ラム肉といえばジンギスカンが名物。それが全国的に定着したが、今はさらにすごい勢いだという。

「ウェブ上の盛り上がりや羊肉の輸入状況、国産羊の育成状況を用いて羊肉文化の盛り上がりを可視化する『羊指数』は、ここ数年上昇傾向です。今年も、昨年の流れを引き継いで大きなトレンドになる可能性が高い」

 こう話すのは、羊指数を考案した「羊齧協会」代表の菊池一弘さん。羊肉を愛する「消費者の消費者による消費者のための団体」をうたう同会は、前身団体を含めて活動歴20年。会員数は1500人超を誇る。

「今のブームの特徴は、“底上げ型”です」

 羊肉ブームは過去にも何度かあったが、それはジンギスカンブーム。特定の料理が主導する「料理牽引型」は飽きが早い。最盛期の2004年は、東京だけで200店舗に拡大したジンギスカン店は数年で半減し、それに呼応して輸入量も減った。それに対して「底上げ型」は、消費者から火がついたブームが、飲食店→肉問屋→肉メーカーと広がり、それをメディアが取り上げてさらに拡大するものだという。

■仏産登場で「羊肉の戦国時代」到来

 04年は、羊肉の知識に乏しく、処理や調理の技術がイマイチな店が乱立。それで保存状態の悪い羊肉が独特のにおいを放っていた。「羊肉は臭い」といわれたゆえんで、敬遠する人が増え、ブームが終息したが、今回は「すごくいい流れ。このまま定着するといい」と期待を寄せる。

 羊肉は、世界各国に広くさまざまな料理で定着している。たとえば、シュワンヤンロウ(羊肉のシャブシャブ・中国)、羊肉串(羊肉にクミンなどを振って焼いた串・中国)、ボーズ(モンゴルの餃子)、ペリメニ(ロシアの餃子)、チャンスン・マハ(茹でた骨付き羊肉・モンゴル)、ラム肉ロースト(フランス)……。チャンスン・マハは塩茹でだが、「ほんとに塩だけ?」と思うほど深い味わいが広がる。羊ひとつでも全く味が変わる。

 羊齧協会では、さまざまな国・地域の羊料理を食べる会を月数回ペースで開催している。14年に始まった「羊フェスタ」は、当初530人だった参加者が翌年1万人を超え、昨年は2万人超に。ラムブームの拡大がうかがい知れるだろう。

 日本で食べられる羊肉は、オーストラリア産、ニュージーランド産、国産、アイルランド産の4つに加え、十数年ぶりに輸入が解禁されたフランス産が加わった。各国のラム肉の違いを知り尽くす菊池さんによれば、フランス産は「芯が強い味」で、「塩で食べると優しく、なおかつスパイスと合わせても羊らしさがぶれない」という。

 ニュージーランド産はかつて脂肪分の少なさが特徴だったが、最近は脂肪分が多いタイプも。フランス産の解禁で、国産が最高級という従来のランク付けが揺らいでいるが、国産も負けてはいない。「北海道・池田町では山を駆け回る“山岳羊”を育てる牧場がある」という。

「まさに今は、羊肉の戦国時代。羊肉が嫌いという人は、だまされたと思って、お店で食べてみてください。本来の羊のおいしさに、うなるはずです」