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<九州豪雨>「見つかったのは泥だらけのぬいぐるみ」

7/9(日) 22:34配信

毎日新聞

 ◇朝倉の立集落 会社員が母と祖父の捜索作業を見守る

 九州北部豪雨の被災地は9日、梅雨前線などの影響で断続的に雨が降る中で救出、捜索活動が続いた。多数の犠牲者が出ている福岡県朝倉市の杷木星丸地区の立集落(たてしゅうらく)では、同市の会社員、野上邦幸さん(36)が、安否不明の母、本河くに子さん(59)と、祖父の小塩正さん(89)=同県うきは市=を捜索する警察や消防などの作業を見守った。

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 この集落の川沿いの一帯は濁流に襲われ、数軒の家屋が押し流された。「ここに(母親の)家があった」と野上さんが示す場所にも、大量の土砂と流木が積み重なり、家屋の姿はない。捜索には毎日立ち会っているが、野上さんは「見つかったのは泥だらけのぬいぐるみとソファだけなんです」と語った。

 野上さんは豪雨が発生した5日、仕事で福岡市にいた。大雨を心配して夕方に本河さんに電話し、「公民館に行き、近所の人と一緒にいた方が良い」と避難を促すと、「2階に、じいちゃんと一緒にいるから大丈夫」との返事があった。小塩さんはこの日、娘の本河さんを病院に連れて行くために訪れていた。

 午後8時ごろに野上さんが電話を入れると、本河さんは「1階に水が来て、『ミシッ、ミシッ』と音がする」と返した。野上さんは「2階にしがみついていて」としか言えなかった。それ以降、電話はつながらなかった。

 「もしかしたら、いるかもしれない」と、野上さんは6日から朝倉市内の避難所も巡ったが、本河さんらは見つからなかった。優しかった母と祖父。捜索作業をじっと見つめながら、「早く見つかってほしい。それだけ」とつぶやいた。【佐野格】

最終更新:7/10(月) 0:42
毎日新聞