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<世界遺産>信仰の連続性が認められる 沖ノ島一括登録 

7/9(日) 22:57配信

毎日新聞

 福岡県宗像市と福津市にまたがる「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が9日、一括して世界文化遺産に登録されることが決まった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が5月に関連遺産4件の除外を勧告してから2カ月。復活登録を信じてきた地元関係者らは喜んだ。今後は予想される観光客の増加などにどう対応するかが問われる。

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 沖ノ島(宗像大社沖津宮=おきつみや)だけでなく、本土側の辺津宮(へつみや)など4件も含めて世界遺産登録が決まったのは、沖ノ島の古代祭祀(さいし)が現在の宗像大社信仰まで続いているとする日本側の主張を世界遺産委員会が受け入れたためだ。信仰の連続性に世界的価値が認められた形となった。

 日本側は、遺物などで考古学的に明らかな4~9世紀の沖ノ島祭祀が、古事記や日本書紀(共に8世紀)の記述にある宗像三女神の信仰に連続するとした。さらに女人禁制などの禁忌により、今日まで沖ノ島が守られてきた点に世界的価値があると主張した。

 だが当時の沖ノ島祭祀がどのように行われたかを具体的に記した史料も、沖ノ島祭祀から三女神信仰への連続性を示す具体的な過程を記した史料もない。沖津宮を含む宗像大社の社殿の成立時期も不明確だ。日本側の主張は、古事記などの伝承やわずかな史料を状況証拠として積み上げた合理的な推測だった。

 これに対し、三女神に関わる4件を除外するよう勧告したイコモスは、古事記などの記述を「島の祭祀記録ではない」とし、社殿や禁忌も後世のもので、連続性の説明は不十分と判断した。

 ただ勧告は、現代までの間に信仰の意味は変容しつつも、沖ノ島の神聖性が今日まで保たれた点は評価していた。世界遺産委員会でも、沖ノ島と4件が文化的、歴史的にも一体であるとする意見が相次ぎ、逆転登録が実現した。

 沖ノ島は女人禁制だけでなく男性も一般の立ち入りは厳重に制限されており、宗像大社は今後も変えないとしている。「海の正倉院」と呼ばれる貴重な遺跡を保護しつつ、高まる関心にどう応えていくかが課題となる。【大森顕浩】

最終更新:7/9(日) 23:35
毎日新聞