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岐阜空襲伝える灯籠 美江寺観音住職が制作

7/9(日) 9:06配信

岐阜新聞Web

◆炎上する街、逃げ惑う人CGで描写
 美江寺観音(岐阜市美江寺町)の加藤弘春住職(61)が、太平洋戦争末期の1945年7月9~10日に同市を焦土にした「岐阜空襲」をCGで再現した灯籠を制作した。空襲の記憶の風化を防ぐのが狙い。焼夷(しょうい)弾を投下する米軍のB29爆撃機、火柱を上げて燃える同寺の仁王門などを、逃げ惑う人々のシルエットとともにデザインした。犠牲者鎮魂のため、9日夜に境内で営む千灯会でともし、大惨事に思いをはせてもらう。
 岐阜空襲では、同寺にも火の手が回り、平安時代に造られた仁王門や本堂などを全焼した。亡き祖父(先々代住職)から本尊を背負って逃げた経験を聞いて育った加藤さん。「戦後70年の節目が過ぎ、関心が低下している」と憂慮し、若い頃から仕事で磨いたパソコンによる画像の編集スキルを生かして灯籠制作に着手した。
 モチーフは、空襲で焼失した仁王門をはじめ、旧市役所、商工奨励館と市内電車、忠節橋直下の長良川の4パターン。これらの写真やイメージ画像に炎や防空ずきん姿の人波、B29の機影などの絵を合成した。空襲体験者の証言に基づいて、光の筋を描きながら落ちる焼夷弾や、川面に浮いた油が燃えさかる“火の海”も描き込んだ。
 灯籠は木製の1基で、回転台を含め高さは約1.6メートル。光を通しやすい特殊な紙(A1判)に印刷し、箱形の側面に取り付けた。発光ダイオード(LED)ライトをつけると明々とした火炎が際立ち、迫力を増す。加藤さんは「目に見える物があると岐阜空襲をイメージしやすい。記憶にとどめ、手を合わせてもらうきっかけになれば」と願う。デザインは今後も改良を続ける。
 灯籠は9日午後7~9時に千灯会で点灯する。地蔵像や観音像などを描いた紙を筒形にした手作り灯籠も300個以上並べる予定。希望者は当日午後1時以降、紙灯籠の塗り絵や設置作業に参加できる。申し込みは不要。

岐阜新聞社