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見ろ!海岸がゴミだらけだ 「ラピュタ」そっくりな和歌山「友ヶ島」を汚すのは誰?

7/9(日) 10:08配信

弁護士ドットコム

スタジオジブリ・宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』で描かれた光景にそっくりだとして、関西地方の「穴場スポット」として人気になっている和歌山県・友ヶ島。今年5月の大型連休には、1日最大約1500人の観光客が上陸するなど、カップルや家族連れなどで賑わっているが、この島を何十年も悩ませているものがある。海岸に流れつく大量のゴミだ。

友ヶ島は、和歌山県と兵庫県・淡路島の間に浮かぶ4つの無人島の総称。第2次世界大戦まで旧日本陸軍が使用した砲台の跡が、現在も残っている。レンガで造られた建物の跡は、ほとんど手付かずのまま、深い草木に覆われており、日常とかけ離れた幻想的な光景が魅力的なスポットとなっている。

地元の人によると、もともと砲台跡を目当てにした観光客はいたが、「ラピュタに似ている」「リアル・ラピュタ島だ」と、SNS上で人気が爆発。さらにテレビ局に取り上げられたことなどで、大阪や兵庫などからの観光客が激増している。和歌山市によると、年間の来島者数は、2011年は1万7462人だったが、2016年は6万9477人と、5年間で約4倍に膨れ上がっている。

●川を通して大阪湾に流れ込んだゴミ

そんな風光明媚な小さな島の海岸には、ペットボトルや空き缶、発泡スチロール、サッカーボールから車のタイヤまで、大量のゴミが打ち上がっている。地元和歌山出身の20代女性は「初めて観光に来たけれど、思っていたよりもゴミが多くて、少しがっかりした」と話した。和歌山市・友ヶ島管理事務所によると、ゴミのほとんどは海から流れついたものだという。

そして、ゴミの回収・処分費用は市の予算だ。管理事務所の職員は「ゴミがないように、精一杯の努力はしているが、きりがない。予算も人手もない」と肩を落とす。少ない職員が毎日、大きなカゴ2杯分のゴミを回収し、年に1度はボランティア団体の協力のもとで回収(カゴ50杯分)もおこなっているが、それでも間に合わない状況だという。

そもそも、ゴミはどこで発生しているのか。和歌山市が、ラベルや表示などから分析したところ、そのほとんどは、大阪を流れる淀川や大和川からやってきた可能性が高いことがわかった。不法投棄されたり、風で飛ばされたゴミが川を通して大阪湾に流れ込み、時計回りの潮流に乗って、最後は友ヶ島に流れつくというわけだ。

市観光課の担当者は「ゴミ問題は、昨今起きたのではなくて、何十年も前からある話だ。われわれは被害者なので、お金かけて対策するというのも、少し違う気がする。だから、ゴミの供給源に啓発をお願いしたいと思っている。環境省などに対策を講じるよう訴えかけている」と話す。

●「結局は、市民一人ひとりが気をつける問題だ」

海岸に流れつくゴミの処理の責任は誰にあるのか。「海岸漂着物処理推進法」でルールが定められている。この法律によると、基本的には、その地方公共団体(海岸管理者)がゴミ処理の責任を負うことになっている。例外的に、ゴミが他の都道府県から流出したことが明らかな場合には、その都道府県に協力を求めることができる。

友ヶ島の場合、大阪府などに対して、ゴミ処理の協力を求めることができそうだが、環境省によると、これまでそうした協力を求めたケースは見当たらないという。また、「はっきり特定できない」(市観光課・環境省)ため、実際のところは、海岸管理者(和歌山市)が処理することになっているのが現状だ。

海洋ゴミの対策を講じている環境省・海洋環境室の担当者は、今回のような海岸に流つくゴミの対策として、「シンポジウムやキャンペーンをおこなったり、地方公共団体に補助金を出したり、ゴミに関する啓発活動をおこなったりしている」と語る。ただ、友ヶ島について、特別な対策をとっているわけではなさそうだ。

また、河川ゴミの対策をしている国交省・河川環境課も、看板を設置するなど、ポイ捨てしないように啓発活動している。必要最低限な回収もしているが、ボランティアなどとゴミ拾いしているのが現状だ。同省の担当者は「当たり前だが、川がゴミを作っているわけではない。結局は、市民一人ひとりが気をつけないといけない問題だ」と話した。

弁護士ドットコムニュース編集部