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ファッション弱者にやさしい定額レンタルやオンライン試着ーアマゾンは全てを支配しない

7/9(日) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

先日、アマゾンが洋服の「お試しボックス」ビジネス(Amazon Prime Wardrobe)に参入することが発表された。従来の二次元写真による「カタログの延長」ではなく、「実際に自分が着て試す」という「小売店試着の体験」まで取り込もうという試みである。

【画像】サイトでいくつかの質問に答えると、スタイリストが見繕った服を選んでくれる

このスタイルのビジネスはアメリカではすでに多く試されており、それ自体は目新しいものではない。

洋服ではなくコスメだが、2010年創業のニューヨークのベンチャー、バーチボックス(Birchbox)が「ボックス」型eコマースの先駆とされている。月額固定料金を払い、ユーザーのプロファイルに合わせた化粧品の試供品が毎月詰め合わせて送られてきて、気に入ったものをサイトで購入する。

洋服のボックスとしては、2011年創業、サンフランシスコのスティッチフィックス(Stitch Fix)が知られている。今回のアマゾンと同様に、洋服や靴が5点送られてきて、気に入ったものだけ手元に残して支払い、残りは送り返す。両社ともに、データでユーザーの好みを解析することが強みで、データ系技術のカンファレンスでもおなじみの「テクノロジー企業」である。

他にも、いくつか「固定料金」や「お試しボックス」を特徴とするeコマースが現れたり消えたりしており、例えば男性向け服飾ボックスのトランク・クラブ(Trunk Club)は、2014年に大手百貨店ノードストローム(Nordstrom)に買収された。

筆者は興味はありながら、“ファション弱者”という苦手感もあり、「これにお金を払いたい」と思えるほどでなく、結局使わないままだった。しかし最近、「第2世代」の個性豊かなサービスが登場してきており、実際に利用を始めたものもある。いずれも、女性が興したベンチャー企業だ。

MMラフルール(MM.LaFleur)忙しいプロフェッショナル女性のための「ベントー・ボックス」

MMラフルール(MM.LaFleur)は、2013年創業、本拠地ニューヨーク。投資銀行で働いていたサラ・ミヤザワ・ラフルールが、「自分たちのようなライフスタイルの女性にちょうどいい仕事着がない」と痛感したことから、チーフ・デザイナーのミヤコ・ナカムラと共に、オンライン・ブティックMM.LaFleurを立ち上げた。苗字でわかるとおり、2人とも日本と縁が深い人たちだ。

コンセプトはスティーブ・ジョブズの「黒タートル」のように、「他に優先事項がたくさんあって、服選びに時間もエネルギーもかけられない女性が、あまり考えなくてもパッと合わせて着られ」、「きちんとした職場で通用するが着心地がよい」というもの。同社の服は三次元的なデザインだが、コーディネートしやすく、かっちり見えるのに動きやすい。しかもほとんどが洗濯機で洗える。

しかし、モデルが着た写真を見ても、その良さはわからない。高級ではないが、ダメなら捨てるほどチープな品でもない。それで提供したのが、オンライン試着である。その名も「ベントー・ボックス」。サイトでいくつかの質問に答えると、スタイリストが見繕った服とアクセサリーが5点、お弁当風に詰め合わされて箱で送られてきて、そのうち必要なものだけ購入できる。

この「ボックス」自体はあくまで試着目的で、事業の核はサイトでの通常の個別アイテム販売。新製品乱発やセールは行わず、人気アイテムは何年もマイナーチェンジしながら継続販売され、「7.0」などとバージョン番号がついている。試着で獲得した顧客に、手持ちアイテムとコーディネートできるものを継続的に売っていく、リピーター重視のビジネスモデルである。

試着は、リアル店舗でも可能だ。現在はニューヨークとワシントンD.C.で常設のショールームをもつほか、サンフランシスコなど10都市で期間限定の「ポップアップ・ショップ」をときどき開催する。「予約オンリーでスタイリストが見繕った服を試着する」という方式で、購入したものは通常通り配送される。

筆者は6月前半にサンフランシスコの「ポップアップ」でリアル試着をした。すでに3回目の立派なリピーターである。最初に友人に誘われたとき、スタイリストが見繕ってくれるので、ファッションが苦手な筆者でも安心できそう、と思ったのがきっかけだった。

こうしたコンセプトが、ターゲットとする30~50歳代のプロフェッショナル女性に受け、急成長しているが、課題もある。

ターゲットとコンセプトが極めてピンポイントなので、現在のコア層以上に拡大できるかは未知数。在庫管理にもまだ問題がある。どうしても「東海岸風」のデザイン感覚なので、西海岸では「地味すぎ・フォーマルすぎ」と感じるものも多い。地域的にもライフスタイル的にも、どこまでファン層を広げていけるかが今後の課題だろう。
レント・ザ・ランウェイ(Rent The Runway)高い服も借り放題の月額制レンタルサービス

レント・ザ・ランウェイ(Rent The Runway)は、2009年創業、本拠地ニューヨーク。当初の単品オンライン・パーティドレス・レンタルから、2016年に新しく「借り放題 Unlimited」のサービスへと拡大した。

月額139ドル、「手元に3アイテム」という制約で、あとは何回借りても返してもOK。黒い布地のガーメント・バッグで送られてきて、ラベルを付け替えて同じ袋で送り返す。類似サービスの日本の「メチャカリ」は新品のみを貸し出しているが、こちらは同じものを何度も貸し出す。婚礼衣装レンタルなどと同じ感覚だ。アメリカでは店が返品に寛容なのを悪用して、ドレスをいったん購入し、パーティで1回着たら返品してしまう行為が横行し、百貨店は頭を悩ませているので、このサービスは理にかなっている。

日常的に使える服も多いが、やはり、ほぼ1回しか着ない前提のパーティやリゾート向けの非日常的なドレスが多いのが強みだ。ドレスに合わせてアクセサリーやバッグも借りられる。気に入らなければ、すぐ返せるので、心理的敷居は低い。アイテムには、単価100ドル前後から4000ドル台のものまであり、高い服でも借り放題だ。

単品のレンタルもできるが、とっかえひっかえ試せるのが「無制限」プラン。ただ、配送センターがニュージャージー州(ニューヨークの近郊)1カ所だけなので、配送にどうしても時間がかかるのが難点だ。

こちらもリアル店舗での試着ショールームを徐々に広げている。現在全米5カ所にあり、サンフランシスコは高級百貨店ニーマンマーカスの最上階にある。サイズは揃っていないが、それでも写真で見るよりはいい。

MM.LaFleurが筆者のライフスタイルに合ったサービスなら、こちらは筆者のライフスタイルを変えてしまったサービスだ。今まで、着る服がないから、ソーシャルなイベントからは逃げがちだったものが、「服を着て行く場所が欲しいからイベントに行く」と逆転したのだ。とにかく借りなきゃ損なので、ちょっとした家族でのディナーなどでもド派手色のワンピースを着て行ったりする。

同社は昨年末に6000万ドルの資金調達をしており、ベンチャーとしてはすでに成熟段階にある。こちらもやはり、ロジスティクスにはまだまだ問題があり、筆者も何度か間違ったアイテムが送られてきたり、ボタンが取れていたりなどを体験した。品揃えはこちらも「東海岸風」で、シリコンバレーでは「ステキすぎて着ていく場所がない」ものも多い。想定しているコア顧客は、筆者よりももう少し若い層のようだが、徐々に品揃えは広がっている。

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