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離婚別居の子と会えない、増加 福井県内で調停申立数が倍増

7/9(日) 8:27配信

福井新聞ONLINE

 離婚したり長期間別居したりしている親が裁判所に、子どもとの「面会交流」の調停を求める申立件数が、福井県内で増えており、2006年の29件から16年は63件になった。15年には元調停委員や弁護士らでつくる「面会交流支援センター福井」(福井市)が立ち上がった。調停で面会交流が決まっても、親同士の対立で、実現できないケースがあり、関係者は「第三者を介した方が円滑にいくことが多い。子どもを第一に考えてほしい」と訴えている。

  ■食事がしたい■

 「4日が空いているんですが…。できれば子どもと一緒に食事をしたい」。電話口の男性相手に、同センターの中川陽子代表(75)は「それじゃあ(午前)11時ぐらいで、お母さんに連絡しておきますね」と答えた。

 同センターは現在、6組の親子を担当。全て調停による協議離婚が成立し、面会交流も決められているが、実現できていなかったケースだ。

 面会交流には、センターのメンバーが出向き、子どもの受け渡しを行う。親権を持つ親の要望で、ずっと付き添うケースもある。元調停委員でもある中川代表は「同居する親は、面会している間に子どもが別居親側に取り込まれてしまわないか、という不安を抱えている」と話す。15年には、面会中の母が県内在住の女児を連れ去る事件があった。

  ■いいとこどり■

 ドメスティックバイオレンスやモラルハラスメントなど、離婚の理由はさまざまで、親の思いは複雑だ。

 元夫と子どもを会わせている40代の女性=福井市=は「(元夫は)子どもに高価なものを買ったりする。いいとこどりのように見えて、嫌な気持ちになる」。元夫は、いつでも連絡が取れるようにと、幼い子どもに携帯電話を買い与えた。女性は「さすがに携帯は取り上げて返した。でも自分が悪者になる」と話す。

 ただ、子どもは面会を楽しみにし、日記に父のことを書いたり、父の似顔絵を描いたりする。女性は「会わせたくないと思いながら、会わせている」と打ち明ける。一方、センターの仲介で子どもと面会している40代男性は「センターがなければ、面会できていないかもしれない。ありがたい」と話す。

  ■行政支援必要■

 福井県内の離婚件数は03年の1470件をピークに減少し、15年は1194件。逆に面会交流の調停申立件数は増加している。

 理由の一つには、12年に施行された改正民法で、子どもの利益を最優先し、親子の面会交流の頻度などを決めるよう規定したことがある。センター設立の発起人の1人である黛千恵子弁護士は「法整備で、面会が権利として認められるという機運が高まっている」と説明する。

 改正民法に合わせ、全国では相談事業を中心に、面会交流支援に乗り出している自治体もあるが、同センターは、自治体の支援を受けておらず、活動費は会員の会費でまかなっている。現場に向かうスタッフもほぼボランティアなのが現状だ。黛弁護士は「今後も面会交流の申し立ては増えると思う。センターの重要性はさらに高まるはずで、活動を継続する上でも、行政支援は必要」と指摘する。

 同センターの問い合わせは=電話090(2125)0850。

福井新聞社