ここから本文です

尾道沖の魚島にヘリで医師ら派遣 広島・神石高原のPWJ、週2回診療

7/9(日) 21:15配信

山陽新聞デジタル

 広島県神石高原町のNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は町内の開業医と協力し、同県尾道市沖の魚島(愛媛県上島町)での診療に乗り出した。同町内で昨年から現代アート展を開いている縁で、医師が不在になった魚島の診療所に6月からヘリコプターで医師、看護師らを派遣。「新たなへき地医療のモデルとして活動の輪を広げたい」としている。

 PWJは、災害時にメンバーや救助犬を派遣し不明者を捜索する活動などに取り組んでおり、昨年までに災害救助用ヘリコプター2機を導入。医療分野でも活用する構想を温めてきた。魚島の診療所の医師が6月上旬に退職すると聞き、上島町に協力を申し出た。同時に、地域医療に携わりたいと約20年前に神石高原町に移住、開業した鈴木強医師(72)に診療を依頼した。

 広島県によると、ヘリコプターを使った離島診療は同県内で初めて。内科を中心に6月13日にスタート。火・金曜の週2回、神石高原町から約50キロ離れた魚島へ出向いている。ヘリコプターの運航時間は25分程度。

 魚島は人口約180人。鈴木医師によると、漁業に従事する高齢者が多く、農村部の神石高原町とは仕事の内容、ライフスタイルに違いがある。仕事に起因する病気などを探ろうと、患者から丁寧に聞き取りを重ねている。

 上島町は島の常勤医を探しており、鈴木医師の診療は後継が見つかるまでの予定だが「医師不在による島民の不安解消に大きな意味がある」と歓迎する。診療に伴う費用には町予算を充て、不足分はPWJが寄付を募って賄う。

 鈴木医師は「医療は住む場所に関係なく等しく受けられるべきもの。可能な限り協力していきたい」、PWJの國田博史国内事業部長(49)は「へき地医療の体制を整えることは、医師との連携、ヘリコプター活用などのノウハウを蓄積でき、災害時の医師派遣にも役立つ。他の地域への拡大も考えたい」と話す。