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「72時間の壁」隊員ら焦り 泥の中、懸命に捜索 朝倉市、東峰村

7/9(日) 9:40配信

西日本新聞

 生存率が急激に低下するとされる「72時間」が過ぎる。九州北部に襲いかかった豪雨から4日目、いまだ安否が分からない人たちが30人近くいる福岡県朝倉市と東峰村では、8日も必死の捜索活動が続けられた。土砂や流木をかき分けていく自衛隊や警察、消防、住民ら。「絶対、諦めない」

【動画】もの凄い勢いで濁流が道路にまで流れこむ様子(JA田川彦山出張所付近)

 午後3時すぎ、1機の自衛隊ヘリコプターが、土砂や流木が堆積する川から遺体をつり上げた。県警や消防の捜索隊が、朝倉市杷木松末(ますえ)の真竹集落で発見した。

 集落は豪雨であふれた乙石川の濁流にのまれた。県警機動隊数十人などが土砂を取り除きながら、民家一軒一軒を捜索して回った。「遺体は上流から流れてきた可能性もある」。消防隊員の表情に疲労がにじんだ。

 この日、同市と東峰村では、自衛隊、警察、消防合わせて1313人を現場に投入。だが、捜索活動が難航する一方で、遺体の数が増えていく…。迫る「72時間の壁」に、隊員らの焦りは隠せない。

「どこかに避難していると信じたい」

 同市杷木林田を流れる赤谷川付近では、自宅にいた男女3人が行方不明のまま。自宅は屋根と骨組みだけになり、現場近くの川の下流では、3人とは別の遺体が見つかった。6日から捜索が続くが、8日も救出できず、午後6時に打ち切った。

 3人の捜索には親族10人も加わった。2台のショベルカーを使い、家があった辺りを掘り起こしていた。「もう、おらんのかもしれんけど、何もせんわけにはいかん」と70代の親族女性は、言葉少なだ。消防隊員は「72時間はデッドライン。ひたすら捜すしかない」と語った。

 80歳の女性の行方が分からない同市山田の現場でも、女性の弟という男性が捜索を手伝った。男性は消防団と一緒に、泥だらけになりながら、土砂をバケツで運んだ。「どこかに避難していると信じたい」

 「見つかったかもしれない」。午後3時半ごろ、同市上池田区長の池田正治さん(66)は、知人の60代女性とみられる遺体の発見を、妻から電話で聞いた。場所は、杷木白木地区から1キロ下った川沿い。自衛隊が川沿いのやぶの中から見つけたという。女性は白木地区で唯一の行方不明者。「複雑だが、見つからない人がいる中で、見つかってよかった」と言葉を詰まらせた。

 東峰村では、重機が入れず手作業での捜索が続いた。7日夜に2人の遺体が見つかった同村宝珠山の岩屋地区では、自衛隊員らが下流の川岸で、依然行方不明となっている残り1人を捜した。

=2017/07/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:7/9(日) 9:40
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