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「先がある若者がなぜ…」家族思いの21歳青年ら無念 老老介護の夫婦も犠牲

7/9(日) 9:49配信

西日本新聞

 記録的豪雨で甚大な被害に見舞われた福岡県朝倉市や同県東峰村では遺体の発見が続いている。無事を願っていた家族や知人は悲嘆に暮れた。

【動画】もの凄い勢いで濁流が道路にまで流れこむ様子(JA田川彦山出張所付近)

 同市杷木地区の祖母宅を訪れたきり行方不明になった岩下ひとみさん(36)=同市杷木池田=は、祖母宅から下流に1キロほど下った場所で見つかった。

 「駄目だった」。8日午前、ひとみさんの父親から直接、悲報を伝えられた70代の男性は「幼い頃から知っていて、あいさつもよくするいい子だった。残念だ」と声を詰まらせた。

 岩下さんは山あいの集落で1人暮らしをする祖母に、2日に1度は会いに行き、病院まで送ったり、一緒に畑仕事をしたりしていたという。祖母は足が不自由で杖を使っていた。「優しい子だから、おばあちゃんを置いて逃げられなかったのだろう」。地元の人たちは推し量った。

 同市杷木松末の樋口健太さん(21)は、避難しようと祖母を連れて自宅を出た後、濁流にのまれたとみられる。

 食品工場に勤務し、還暦祝いで両親に旅行をプレゼント。いつも祖母を気遣う近所でも評判の青年だった。区長(66)は「集落には若い人が少なく、頼りにしていた。先がある若者がなぜ…」と悔やんだ。

 岩下さん、樋口さんの祖母は今も行方が分かっていない。

 東峰村宝珠山では、熊谷国茂さん、千鶴代さん夫妻=いずれも(81)=が自宅のそばで相次いで見つかった。国茂さんは10年ほど前に脳梗塞を患い、体にまひが残った。千鶴代さんは在宅で介護をしていたという。「いつも奥さんと一緒におった。2人一緒に見つかったのが、せめてもの救いだ」。友人の井上朝喜さん(85)は言葉少なだった。

=2017/07/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:7/9(日) 9:49
西日本新聞