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旅客機「ビジネスクラス」のナゾ なぜシートクラスの呼称が「ビジネス」なのか

7/9(日) 15:10配信

乗りものニュース

「1等」と「節約」のあいだに

 国際線旅客機の座席ランクの呼称は各社さまざまですが、一般的に「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「エコノミークラス」の順に大別することができます。ファーストクラスとエコノミークラスとのあいだに位置するビジネスクラスは、エコノミークラスよりワンランク上のサービスを受けられます。

【写真】JALのビジネスクラスシート「JAL SKY SUITE III」

 しかし、そもそも「ビジネス」とは「事業」や「業務」、「取引」といった意味合いの言葉です。にもかかわらず、「エコノミーの上」あるいは「ファーストの次」として、なぜ「ビジネス」という呼称が使われているのでしょうか。

 そのためには、第二次世界大戦前からの旅客機事情を振り返る必要があるようです。航空科学博物館(千葉県山武郡)のスタッフは、「戦前の旅客機の多くはファーストクラスのみで、戦中の1940年代にエコノミークラスのみの旅客機が登場。エコノミークラスとファーストクラスの2クラスをそなえた仕様が増え始めたのは1950年代になってからだといわれています」と話します。

「1970年代にはボーイング747型機など、機材の大型化で供給過多が発生、空席が増加することになりました。そういった状況を改善すべく、エコノミークラスの通常料金を割引したチケットが登場しましたが、これによりエコノミークラスとファーストクラスとの料金格差はさらに開いてしまい、その結果、中間クラスとしてのビジネスクラスが誕生したといわれています」(航空科学博物館)

 ANA(全日空)もビジネスクラス誕生の経緯について、1970年代に登場した大型旅客機による大量輸送時代がもたらした海外旅行の大衆化と、これにともない「団体割引運賃」をはじめとする手ごろな価格の座席が増えたことが背景ではないか、と話します。

最初は「ビジネス」ではなかった

 では、最初にビジネスクラスを導入したのはどこなのでしょうか。ANAは「最初に導入したのは、当時アメリカを代表する航空会社だったパンアメリカン航空だとされています」といいます。

「当初の呼称はビジネスクラスではなく、『クリッパークラス(Clipper Class)』と呼ばれていたそうです」(ANA)

「クリッパークラス」からビジネスクラスへ呼称が変化していった背景については、諸説あると断った上で、「おもに出張や社用(ビジネス)で『通常料金のエコノミークラス』を利用する、比較的運賃の負担力がある顧客に向けたことから、『ビジネス』といった呼称になったようです」と話します。

 ANAは1986(昭和61)年7月の成田~ロサンゼルス便就航にあわせて「ス-パ-エグゼクティブクラス」の呼称でビジネスクラスを導入。その後、1991(平成3)年3月に「CLUB ANA」と改称しました。2010年2月からは、ロゴなどを「ビジネスクラス」に統一し、「ANA BUSINESS STAGGERED」などの商品名でサービスを提供しています。

 一方、JAL(日本航空)がビジネスクラスの呼称を明確に使い始めたのは、全クラスに新シートを採用した機体「スカイスイート 777」を導入した2013年1月からで、それまでは「『エグゼクティブクラス』と呼称していました」(JAL)といいます。

 ちなみに、ビジネスクラスの航空券にはビジネスの「B」ではなく、「C」とクレジットされています。その理由について、ANAとJALはともに「『クリッパークラス』の頭文字からとったという説が有力です」としています。

乗りものニュース編集部