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「生き方がつまんない人は試合もつまんない」DDTを率いる高木三四郎の“人生プロレス“

7/9(日) 12:00配信

AbemaTIMES

群雄割拠のプロレス業界で、創設から20年を迎えたプロレス団体がある。それがDDTプロレスリングだ。新宿FACEでの興行は満席、観客には女性が多いのも特長。統括マネージャーの山辺和明氏は「女性の方が半分。あとは3割位が40代の男性、往年のプロレスファン。いろんな試合があるのがDDTの特長」と語る。

実際、会場のファンの女性たちも「見てて楽しい。ショー的な要素が強い」「エンターテインメントが面白い。いろんなパターンがあって、すごい盛り上がる」「DDTはバラエティがあって入りやすい」とその魅力を教えてくれた。

そんなDDTを立ち上げたのが高木三四郎(47)だ。会社経営も担う傍ら、今も現役でリングに上がる。ニックネームは「大社長」だ。「見てるお客さんもベースを知らなくても入りやすい。興行のやり方から団体運営の仕方まで全部教えます」と豪快に笑う“戦う経営者“は、どのような軌跡を歩んできたのだろうか。

■路頭に迷い、3人だけでの立ち上げ

父親が毎日放送の技術職員という家庭で育った高木は、駒沢大学法学部政治学科卒業後の1995年、高野拳磁が主宰するPWCでデビューした。しかしPWCは突如解散、路頭に迷った高木たちが3人で立ち上げたのがDDTプロレスリングだ。ここからカネも実績もない若者の試行錯誤が始まることになる。

困った高木たちは、様々な場所でプロレスを行うことを思い付く。「川崎に“屋台村“っていう、縁日みたいな場所があって。そこで酒を飲みながらプロレスが見られるっていうのをはじめました」。他にもクラブアトムにプロレスリングを設置、ギャルたちを集客したこともあった。「そもそも新日・全日といった歴史ある団体のレスラーって身体も大きいし、新興団体じゃ勝てない。伝統的な団体じゃできないことをやろう」。DDTの経営方針が定まった。

■ギャラ12万円を20人で割ったことも

だが、そう簡単にことは進まなかった。自分たちのことを取り上げてもらうため、プロレス専門誌の編集部を訪ねたところ、「そんなのうまくいくわけ無いじゃん。君らみたいな新人3人が集まって何ができるのよ。そんな団体、俺が潰してやるよ」と厳しい言葉をぶつけられた。

「反骨心が出てきましたね。メディアは信用できないと」。高木は旗揚げ戦の前に「プレ旗揚げ戦」を開催。集まった客に、この団体を続けていいかどうかの判断を仰いだ。当時のDDTはガチンコストロングスタイルのプロレス。客から「この続きをみたい」という声が圧倒的多数を占めた。

しかし、時代は総合格闘技が台頭。「差別化ができなくなったんです。中肉中背の我々が戦っても…」観客数もみるみる減少、100人を割り込み、収支がマイナスになることも。時にはギャラ12万円を20人で割ったこともあった。創設当初、3人のメンバーはプロレスラーとしてのギャラは一切もらわなかった。

苦境に立つ高木は、自分の考え方をガラリと変えた一本のビデオテープに出会う。それがアメリカのプロレスの映像だった。カメラがバックステージまで、追いかけ選手と社長が直接戦ったり、車にコンクリートを詰めたり…。そこには、「なんでもアリ」のプロレスショーがあった。「僕らは最強を目指すよりも最高、つまり極上のエンターテインメントを目指そうと決心しました」

■選手たちのセカンドキャリアを考え、店も経営

「男色家からダッチワイフまでいる文化系団体」と言われることもあるDDTは、レスラーたちも彩り豊かだ。看板レスラーの一人、男色ディーノは、リングに上がりイケメンレスラーの唇を次々と奪っていく。そんな男色ディーノが人気投票で1位になったことがDDTの懐の深さを示している。ヨシヒコという“人形レスラー“も、一度はベルトを巻いたことがあるというから驚きだ。ちなみにヨシヒコはこたつに入っているところを審判に3カウントを取られ、一時王座は「こたつ」に移動したこともある。「大手ができないことをやる」。高木のポリシーから、王道プロレスラーもいる一方で、こうしたユニークな選手たちが活躍できるのもDDTの魅力の一つだ。

こうした試みがついに実を結び、20周年を迎えた今年はさいたまスーパーアリーナで試合を開催。現在では大手ゲームメーカー・コーエーテクモゲームスの協賛を得て、有名レスラーを招待し、甲冑をつけた戦国武将マッチを開催するなどしている。

DDTを切り盛りする高木は、選手たちのセカンドキャリアを考え、バーやストレッチ専門店も開いた。「中野で出した小洒落た欧風カレー屋は大失敗だった」と苦い経験も明かすが、上手くいっている店も多い。

■「生き方がつまんない人は試合もつまんない」

“プロレス馬鹿“を自認する高木は「人生はプロレス」と語る。「リングはその人を映し出す。いろんなメジャー選手も見てきた。レジェンド選手にも会ってきた。その経験から言えるのは『生き方がつまんない人は試合もつまんない』ということ」だからこそDDTでは、入門時に一芸入試を課している。

「体力はあとからついてくる。大事なのは運動神経の他に『プロレス頭』を持っているかどうか」。技の開発をする際にも、見応え・威力・客の盛り上がりなども併せて考えているか、思考の柔軟性を求める。「いくらすごいシャドーボクシングを披露されてもDDTではダメ」高木とDDTは、これからどんな一手を見せるのか。プロレスファンならずとも注目だろう。

(AbemaTV『偉大なる創業バカ一代』より)

最終更新:7/9(日) 12:00
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