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小高病院・藤井医師が見た地域 南相馬の避難解除12日で1年

7/9(日) 15:30配信

福島民友新聞

 東京電力福島第1原発事故で南相馬市の小高区と、原町区の一部に出された避難指示が解除されてから12日で1年となる。住民の帰還が進む中、65歳以上の高齢者の占める割合は5割を超え、健康を支える医療の責務が増している。小高区で働く医師の目から地域の現状を探った。
 「着任当初の昨年4月は、街中に車の往来はあったものの、人の姿は少なかった」。小高病院唯一の常勤医として避難指示解除前の昨年4月から勤務する藤井宏二医師(62)は続ける。「解除後、軒先に洗濯物が目につくようになった。こんなふうに住民が生活している雰囲気が分かるんだな」
 市によると、避難指示が解除された地域に6月30日現在で2359人が生活しており、うち高齢者は1217人に上る。「年寄りの街になっているのは患者数で実感している。高齢者だけの世帯だと、病院に来ることさえも難しくなっている」と藤井医師。患者宅を訪れる訪問診療を4月から週3日程度行っているが、「筋肉が痩せ衰えるなどして全身の機能が低下する『廃用症候群』の症状が出ている人がいたことに衝撃を受けた」と明かした。
 避難指示解除を受け、行政は住民の帰還や移住に向け各種施策を展開している。藤井医師は「帰還促進は重要だが、帰還後の生活をいかにするかを、もっと考えていかなければならない」と指摘する。
 小高病院は5月に遠隔診療システム(オンライン診療)の運用を開始。住民の医療不安の解消や往診の負担を軽減するのが狙いだ。「遠隔診療で爆発的に帰還が進むことはないかもしれない。それでも小高病院がセーフティーネットになり、民間の医療機関との仲立ちができれば」と藤井医師は考えている。

福島民友新聞

最終更新:7/9(日) 15:30
福島民友新聞