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[記者手帳]北朝鮮は大陸間弾道ミサイルで何ができるか

7/9(日) 6:15配信

ハンギョレ新聞

 北朝鮮は驚くべき国だ。米中央情報局(CIA)の『ワールド・ファクトブック』によると、北朝鮮の2015年の国内総生産(GDP)は購買力平価(PPP)基準で400億ドルだ。1兆9290億ドルの韓国の48分の1であり、世界115位だ。1人当たりGDPも1700ドルに過ぎない。世界最貧国に属する。1990年代中・後半の深刻な干ばつで数十万から数百万と推定される人口が飢死する最悪の状況からは脱したが、依然として子どもたちは栄養失調に苦しみ、国際社会の支援を受ける国だ。そのような国が数日前、数千キロメートルを飛んでいく先端の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を打ち上げた。世界で6番目だ。こうした極端な不調和は類例が見当たらない。最高権力者の「アメリカ帝国主義と一騎討ちする」という強い意志だけで、このように天と地ほどに大きく開いた溝を埋めることができるのだろうか。

 北朝鮮の弾道ミサイル開発の歴史は、1980年代序盤まで遡ると言われる。旧ソ連が技術移転を拒否すると、旧ソ連製のスカッドBをエジプトから買い入れ、部品を分解した後、再び逆設計する方式でスカッドBの製作技術を身につけたという。しかし、旧ソ連がスカッドB技術を直接伝授したという主張もある。このようにして踏み出した北朝鮮のミサイル技術は、1990年代初め、ソ連の崩壊で新たな転機を迎える。中央政府の支援が途絶えたソ連の研究所の技術者たちを迎え入れ学ぶことができるようになったのだ。ノドン、ムスダン、テポドンなど様々な種類のミサイルはこのようにして作られた。

 しかし、これらのミサイルはすべて1950~1960年代の古い技術に基づくものだった。スカッドB、スカッドC、ノドンミサイル、テポドン、銀河発射体はいずれも旧ソ連で1950年代に開発された「R-17」のエンジンまたはその改良型をつけており、またムスダン、KN-08、KN-14は、旧ソ連で1960年代初めに開発された「R-27」エンジンまたはその改良型を使用したものと推定されてきた。それだけに、古い技術の限界も明らかだった。

 しかし、最近の北朝鮮のミサイル技術は飛躍的変化を見せている。北朝鮮はかつての旧ソ連の伝統とは断絶された新しいミサイル技術を自主開発し始めたとみられる。昨年試験発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」と、今年打ち上げた地上発射用ミサイル「北極星2」型は、北朝鮮では珍しい固体燃料ロケットだ。今年相次いで打ち上げた中距離ミサイル(IRBM)「火星12」型と大陸間弾道ミサイル「火星14」型は、北朝鮮では使い慣れた液体燃料ロケットだが、全く新しいタイプのエンジンと推定された。北朝鮮は昨年3月以降から今まで、ロケットエンジン実験を全部で4回公開したが、この過程で固有のロケットエンジンが独自開発されたものと見られる。ジェームズ・マーティン不拡散センター(CNS)東アジアプログラム責任者のジェフリー・ルイスは4日、ワシントン・ポストに火星14型が「旧ソ連の旧式エンジンを複製したり組み合わせたものではなく“本物”」だとし、北朝鮮が独自に開発した固有ロケットエンジンを装着した点に注目した。北朝鮮のミサイル開発が質的転換を経ているのだ。

 まだ変化は初期段階だ。北極星や火星12型、火星14型は全部で1~2回試験発射をしただけだ。特に大陸間弾道ミサイルは大気圏再突入技術があるかどうかはまだ確認されていない。大陸間弾道ミサイルは数千キロを飛ぶため、若干の初期誤差でも目標物から数十キロ外れる可能性がある。北朝鮮はまだ超精密誘導技術を立証したことはない。今後何度かの試験発射がさらに必要だ。そうだとしても、北朝鮮が結局は米国本土を攻撃できるミサイルを持つまでにそれほど長い時間が残っているとは思えない。

 防ぐ方法が全くないわけではない。北朝鮮は弾道ミサイルの発射を公開してきた。これは核心戦略兵器開発の公開を嫌う通例とは異なる行動だ。北朝鮮がミサイル発射に軍事的意味だけでなく、政治的意味を大きく与えているという傍証だ。対内的な民心結集用であり、「対北朝鮮制裁には屈服しない」というメッセージでもある。同時に「政治的妥協の余地もある」という本音も読み取れる。もはやボールは米国側のコートにある。

パク・ビョンス統一外交チーム先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )