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神戸復興のシンボル「旧菅原市場」 再開頓挫し幕

7/10(月) 10:33配信

神戸新聞NEXT

 阪神・淡路大震災の火災で焼失した旧菅原市場(神戸市長田区)の跡地で、昨年秋まで共同スーパーを運営していた菅原市場協同組合は9日までに、スーパーの再開断念を決めた。新たな小売業者誘致による再出発を模索してきたが、出店計画が相次いで頓挫し、区切りをつけた。土地は売却し、唯一営業していた精肉店は移転する。映画「男はつらいよ」のロケ地にもなった「復興のシンボル」は、静かに幕を下ろした。(横田良平)

【地図】旧菅原市場(味彩館)

 菅原市場は1920(大正9)年創業。震災で37店舗が全焼した後、仮設店舗で22店が営業を再開し「被災地・長田」を象徴する場所になった。5店舗が2000年、共同スーパー「味彩館(あじさいかん)Sugahara」として再建を果たしたが、大型店出店による競争激化や店主の高齢化に伴い、維持が難しくなっていた。

 組合理事長の吉田安夫さん(68)によると昨年、大阪を拠点とする小売業者の出店計画がいったん決まったため、味彩館は改装のため閉店。覚書も交わしたが、業者の方針転換で計画は立ち消えになり、吉田さんが経営する精肉店「マルヤス食品」のみが建物の一角で営業を続けてきた。今春には別の業者と契約寸前までこぎ着けたが、改装費用などが壁になり、またも出店を断られた。

 売却先の候補を小売業者以外にも広げたところ、大阪市内の電機メーカーが興味を示し、6月に土地の売買契約を結んだ。建物は解体し、組合も解散する方針。建物前にあった「男はつらいよ」ロケの記念碑は近くの公園に移設する。跡地にはメーカーが事業拠点を建設する予定という。

 「組合を残し、スーパーを続けたい思いはずっとあった。でも計画が2度駄目になり、いよいよ潮時かなと感じた」と吉田さん。精肉店はいったん営業を終えており、14日から約50メートル離れた自宅兼店舗で再開する。「良い買い手が見つかり安心したが、震災後、慣れ親しんだ場所がなくなるのはやっぱり寂しい。僕は肉屋しかできない。これからも客においしい肉を届け続けたい」と話す。

 マルヤス食品TEL078・575・7282

最終更新:7/10(月) 10:58
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