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<獣医学部>既存大学、新設に賛同なし 過剰供給を懸念

7/10(月) 7:00配信

毎日新聞

 ◇16大学に毎日新聞アンケート 5校は「反対」

 安倍晋三首相が獣医学部新設を学校法人「加計学園」の他にも全国で認める意向を示したことについて、獣医師養成課程のある全国16大学に毎日新聞がアンケートを実施したところ、回答した大半が獣医師の需給バランスなどへの懸念を示した。賛同を表明した大学はなかった。政府が一昨年、新設の前提として「既存大学では対応困難」などと閣議決定した「4条件」を巡っても、各大学で既に研究体制を整えているとの意見が相次いだ。政府が教育現場の実態を十分把握することなく、議論を進めていることが浮かび上がった。

【獣医師養成課程のある16大学】

 アンケートは、首相が6月24日の講演で「2校でも3校でも意欲ある所にはどんどん新設を認めていく」と語ったことを受けて書面で実施し、9大学が回答した。他に3大学が匿名を条件に意見を寄せた。

 9大学のうち5大学が首相の考えに反対を表明。帯広畜産大は、獣医学部のような新設の規制がない薬学部の例を挙げて「薬剤師が過剰供給になり新設の薬学部は定員割れを起こしている」と規制の必要性を訴えた。文部科学省によると、薬学部のある大学は20年前の1.6倍にあたる73大学に増加。一方で、昨年度は新設私立大を中心に23大学で定員割れになっている。

 他に反対した麻布大は、教育環境整備に多大な投資をしてきた経緯に触れ「十分な教育ができることが確実に担保されて初めて認めるべきである」とした。匿名で意見を寄せた3大学は賛否を示していないが、2大学が「(規制撤廃の)根拠を示してもらう必要がある」などと疑問を呈した。

 このほか、獣医学部新設を巡る一連の問題には「教育行政を内閣が主導で行うことの危険さを感じた」「獣医師の状況に理解がない」などと批判が目立った。また、4条件に関連し、加計学園が重点を置くとされるライフサイエンス分野の研究体制についても、既存大学で「整っている」との立場が大半だった。一方、同学園新学部設置準備室長は毎日新聞の取材に、他大学にはないカリキュラムを組んだと強調し、4条件を満たしているとの立場だ。

 学園の計画を巡っては、文科省の前川喜平前事務次官が「十分な根拠なく規制緩和された」と述べており、10日の衆参両院による閉会中審査で議論が交わされる。【渡辺諒、小林祥晃、中島和哉】

最終更新:7/10(月) 10:20
毎日新聞