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トップ営業の「話術」やカリスマ店員の「接客パターン」をAIに実装

7/10(月) 11:30配信

アスキー

日本マイクロソフトは、同社のAを活用した新しい広告手法を紹介する展示会イベント「AI×宣伝広告フォーラム」を開催。「Microsoft Cognitive Services」などを実装した各社の広告ソリューションが展示された。
 日本マイクロソフトは6月22日、同社のAIテクノロジーを活用した新しい広告手法を紹介する展示会イベント「AI×宣伝広告フォーラム ~人工知能がもたらす新たな顧客体験」を開催。AI API群「Microsoft Cognitive Services」などMicrosoft AzureのAIサービスを実装した各社の広告ソリューションが展示された。
 
 イベントに登壇した日本マイクロソフト エバンジェリストの西脇資哲氏は、マイクロソフトのAIの精度について、「音声認識では、2016年に単語誤り率6.3%の世界最高記録を達成した。人間の誤り率は8%とされており、すでに人間の能力を超えている」と説明した。また画像認識でも、マイクロソフトの画像認識AIは誤認識率3.5%という人間の誤認識率5%よりも高い精度を達成している。
 

 これらマイクロソフトの音声認識、画像認識のAIテクノロジーは、Microsoft Cognitive ServicesとしてWeb APIの形で提供されており、様々なシステムに実装することが可能だ。Microsoft Cognitive Serviceには、音声認識、画像認識のほか、音声をテキストに変換する「Speech to Text API」、画像に映っている物や状況を把握して説明する「Computer Vision API」、顔情報(表情、性別、年齢)を読み取り本人識別する「Face API」、顔写真から感情を推定する「Emotion API」などがある。
 
 西脇氏は、広告やマーケティングでのMicrosoft Cognitive Servicesの利用について、「Face APIを使えば、来店した人が初めてのお客さんなのかリピーターなのかが瞬時に把握できる。また、接客を受けた人や広告を観た人がどのような感情を持ったのか、Emotion APIで数値化することも可能」と述べた。
 
 国内の事例では、東京サマーランドが「時間帯ごとの来客数カウントと顧客層(年齢、性別)の把握」にMicrosoft Cognitive ServicesのFace APIを活用している。「施設内にいる顧客の年齢、性別がわかれば、例えばショップの商品を顧客に合わせたものに入れ替えることができる。日々のデータが集まれば、翌日に来る顧客層が予測できるようになり、ショップの商品の仕入れ内容を調整することができる」(西脇氏)。東京サマーランドでは現在、Emotion APIを導入して、顧客満足度やプロモーション効果の測定も試みている。
 
トップセールスのノウハウをAIに実装
 展示会場では、Microsoft Cognitive ServicesやAzureを活用した各社の広告ソリューションが多数紹介された。
 
 神戸デジタル・ラボとNextremerは、Speech to Text APIと同社独自の言語解析エンジンを組み合わせた営業支援システムをデモ展示した。AIをつかってトップセールスのノウハウをすべての営業担当者が使えるようにすることを狙ったシステムであり、博報堂との協業のもと現在開発中とのことだ。
 
 営業担当者と顧客との会話(商談)をリアルタイムで分析し、会話ログから単語の関係性をネットワーク化。関係性の強さなどを数値化し、顧客の関心事、重要なキーワードを抽出して、営業担当者が顧客に提案すべき商品候補などを導出する。
 
 「商談の成約確度は、営業担当者のスキルに大きく依存する。営業チームでスキルを平準化することは経営的に重要。AIを使うことで、今この会話で重要なのは何か、今顧客に提案すべきものは何か、といったトップセールスが経験的に有している“営業の勘所”を、すべての営業担当者にその場で与えることができるようになる」(Nextremer担当者)。
 
 例えば、自動車を営業する際、ベテランの営業担当者であれば会話から「今、お客さんはエアバックの性能を気にしている」ということにピンときて、自社の商品から最適なものを提案しようする。このような経験による「気づき」や「商品リストから最適なものを選ぶ」といったノウハウを、システム上で実現することを目指しているという。
 
 同システムでは、商談の会話ログから抽出されたキーワードについて、関係性が強いもの、意外なものをグラフ化してレポートする。「月次で、重要なキーワードが可視化されるので次の営業戦略策定につながる」(同)。
 
顧客動線をリアルタイム分析、購買につながる接客パターンを導出
 スプリームシステムは、店内の「顧客の動線」や、「顧客がどの商品を手に取ったか」を分析するシステムを展示した。
 
 店内に設置した近赤外線センサーを使って、入店した顧客、店員(スタッフ入口から入店した人物を店員と判断)の動線をリアルタイムにプロット。商品棚の上にもセンサーを設置し、その顧客がどの商品(棚の何段目に手を伸ばしたか)を手に取ったかを把握する。これにより、その顧客がどの売り場に何分立ち止まったか、接客済みか未接客か、購買に至ったか(レジを通過したか)といった情報が取得できるようになる。
 
 「赤外線センサーの情報のみなので、顔写真など個人情報を扱わないのがポイント。個人情報と紐づけたい場合には、例えばレジで会員カードやスマートフォンアプリを提示してもらい、レジを通った時間で動線情報とマッチングさせることも可能」(スプリームシステム担当者)。
 
 顧客の動線をリアルタイムに分析することで、過去にどの売り場にいたか(どこを素通りしたか)といったデータをもとにデジタルサイネージでその人に合わせた広告を表示するような施策が打てるようになる。また、日々のデータを蓄積して分析すれば、購買につながる効果的な接客パターンが導出できる可能性がある。
 
 同システムの動線分析は、同社が開発したソフトウェアで実現されており、インフラとしてAzureの仮想マシン(VM)にあるSQL Databaseが利用されているそうだ。
 
 
文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

最終更新:7/19(水) 12:35
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