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介助犬普及進まず 認知度不足、静岡県内わずか4頭

7/10(月) 8:30配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 手や足に障害のある人の日常生活をサポートする介助犬の普及が全国的に進んでいない。国内で介助犬を必要としている障害者は約1万5千人とされているのに対し、実際はわずか70頭(5月1日現在)で、県内では4頭だけ。背景には同じ補助犬でも介助犬は盲導犬と比べて認知度が低く、障害者が利用に二の足を踏んでいる実情がある。介助犬の役割が多岐にわたるため、育成が難しいことも指摘されている。

 静岡、愛知県などの助成を受けて2009年に全国で初めて誕生した介助犬専門訓練センター「シンシアの丘」(愛知県長久手市)。社会福祉法人「日本介助犬協会」(横浜市)が運営し、介助犬の育成や普及活動に加え、介助犬訓練士の育成にも力をいでいる。

 同センターの篠崎真理さん(31)もここでの研修を受けた一人。介助犬を利用することで生活の幅が広がり、気持ちも表情も明るくなった多くの障害者を目の当たりにしてきた。「電車に乗ったことがなかった人がいろいろな場所に出掛けるようになった。介助犬の世話をするようになり、自信にもつながっている」とその効果を実感する。

 ただ、育成は簡単ではないという。介助犬は利用者の障害の程度に合わせてトレーニングする必要があるため、育成には1~1年半を要し、10頭を訓練しても「良くて3割程度」(同センター)しか認定を受けることができない。一頭の育成には300万円以上掛かり、そのほとんどを寄付に頼っているのが現状だ。さらに身体障害者補助犬法では、飲食店などは補助犬の同伴を拒んではならない―と定められているが徹底されていない。

 篠崎さんは「まずは介助犬の認知度を上げ、受け入れやすい社会をつくるのが一番」と訴え、「社会の目が穏やかならば、利用してみようという障害者も増え、支援の輪も広がっていくのでは」と期待を寄せている。



 ■「信頼される訓練士に」 浜松の田辺さん、研修で奮闘

 愛知県長久手市の介助犬専門訓練センター「シンシアの丘」では4月から、浜松市東区の田辺真生さん(22)ら公募で選ばれた3人が介助犬の訓練士を目指して研修に励んでいる。

 田辺さんが訓練士を志したのは小学生の時。盲導犬を題材にした映画を見たことがきっかけだった。西遠女子学園高時代に介助犬のことを知ると、「小さな物を拾うことができるすごい犬がいる」とその魅力に引かれた。北里大卒業後、同センターの研修生に応募し、全国十数人の中から、書類や面接、現場実習などの審査を経て研修生に選ばれた。

 研修は来年3月まで1年間。住み込みで週4日、犬の世話やトレーニングを行ったり、介助犬の育成方法や障害者についての知識を学んだりして介助犬PRの担い手としてのスキルも身に付ける。

 「犬が好きなので、近くにいるだけで幸せ」という田辺さん。「介助犬について多くの人に知ってもらい、使用者にも犬にも信頼されるトレーナーになりたい」と意気込む。



 <メモ>介助犬 盲導犬や聴導犬とともに補助犬の種類の一つ。手や足に障害のある人を手助けするために特別なトレーニングを積んだ犬で、落とした物を拾ったり、指示した物を持ってきたりするほか、ドアの開閉や移動の介助など日常のさまざまな動作をサポートする。ラブラドルレトリバーやゴールデンレトリバーなどの大型犬が多い。静岡県内では4頭が活動している。

静岡新聞社