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『ファイヤープロレスリング ワールド』アーリーアクセス版プレイインプレッション

7/10(月) 17:03配信

ファミ通.com

文:編集部 乱舞吉田

●『ファイプロ』シリーズ最新作が、満を持して、12年ぶりに登場!
 『ファイヤープロレスリング』(以下、『ファイプロ』)は、1989年にPCエンジン用ソフトとして第1作目が発売されて以降、多大なるファンの支持を集め、シリーズを重ねていったプロレスゲーム。ビクトリー武蔵やハリケーン力丸、冴刃明、スター・バイソン、アックス・ドゥガンなど、実在の選手をモチーフにしたオリジナルレラスラーが多数登場。組み合ったときにタイミングよくボタンを押すことで技が出せる独特のシステムにより、アツい対戦が楽しめることで人気を博しました。

 1992年のPCエンジン用ソフト『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』からレスラーをエディットすることが可能になり、1996年にセガサターンで発売された『ファイヤープロレスリングS シックスメン・スクランブル』では、レスラーの名前を変更できるリネーム機能を追加。ディープなファンを生み出しました。そして、2005年にプレイステーション2で発売された『ファイプロ・リターンズ』(以下、『リターンズ』)を最後に、長いあいだ新作のリリースはなかったのですが、ついに12年のときを経て、シリーズ最新作『FIRE PRO WRESTLING WORLD(ファイヤープロレスリング ワールド)』(以下、『ファイプロW』)が復活!

 対応機種はPC(Steam)版とプレイステーション4版が予定されており、前記のPC(Steam)のアーリーアクセス版が、2017年7月11日より、2000円[税別]で販売されるんです。今回、そのアーリーアクセス版を、ひと足先にプレイする機会があったので、インプレッションをお届けいたします。とくに、クリエイトモードについて深くを掘り下げているので、エディット好きなファイプロファンは注目してください。

 ちなみに、僕はシリーズの1作目から『ファイプロ』を遊び続けている、筋金入りの“ファイプラー”。『リターンズ』のときは、収録されていないレスラーをエディットしまくって、つねに最新のプロレスマット状態を再現。12年のあいだ、ずっとプレイし続けていました。好きなプレイスタイルは、自分でレスラーを操作するのではなく、CPUどうしを闘わせて、その様子を見ることが好きな観戦派。エディットしたレスラーのCPUアルゴリズムを調整し、いかにそれっぽい動きを再現できるかを目指すプレイスタイルが好き。あ、表の顔は、週刊ファミ通の編集者で、おもにクロスレビューを担当していたりします。


●アーリーアクセスって?
 2017年7月11日から遊べるようになるのは、製品版ではなく、“アーリーアクセス”版。アーリーアクセスとは、製品版の前段階である、開発中のバージョンを先に公開する販売形態のこと。完成品ではないために、モードや内容の一部が製品版とは異なり、タイトルによってはバグが残っていることもあります。では、何で開発中のバージョンを公開するのかというと、遊んだユーザーの声を製品版にフィードバックさせるためなんです。みんなで『ファイプロW』のアーリーアクセス版を遊んで、その感想や要望をスパイク・チュンソフトに届け、よりユーザーの望んでいた完成度の高い製品版のリリースへとつなげましょう!

●『ファイプロW』の特徴
 では、『ファイプロW』のアーリーアクセス版は、どんな内容なのか? 詳細は、スパイク・チュンソフトの公式ホームページを見ていただくのがいちばんだと思いますが、簡単に説明しておきますね。

 基本内容は、前作『リターンズ』を踏襲したカタチ。『リターンズ』でプレイできた多彩な試合形式は、『ファイプロW』でも健在。シングルやタッグといったノーマルな試合形式はもちろん、金網やバラ線爆破、弾崖爆弾といったデスマッチもプレイできるし、SWS公式ルールマッチやグル―サムファイティングといった総合格闘技の試合だって遊べちゃう。トーナメントやリーグ戦、バトルロイヤルも、もちろんオーケー。そして、本作から新たに追加されたのが、オンラインプレイモード。ネットワークを通じ、世界中の腕自慢の猛者たちとの対戦も! アーリーアクセス版では、条件なしでのガチ対戦となりますが、製品版では好みのプレイスタイルに応じた対戦もできるようになる予定とのことです。そして、自分でオリジナルレスラーを作成できるクリエイトモードも健在。レスラーの見た目や技設定、CPUロジックを自由にエディットできるほか、団体を作成したり所属レスラーを移籍させるチームエディット、技名の変更も可能。さらに、レフェリーやリング、ベルトの作成もできるんです。このように、アーリーアクセス版とは言うものの、基本的なモードは、すでに揃っているんですよ。それなのに、価格は、なんと2000円[税別]。フルプライスの6800円じゃないんですよ。たった2000円[税別]で、(開発中ではありますが)『ファイプロ』の新作が遊べちゃうんです。

●シリーズでおなじみの『ファイプロ』レスラーがいない!?
 『ファイプロW』で、いちばん変わった点。それは、あらかじめ収録されているディフォルトレスラーです。最初にハッキリ断っておきますが、『ファイプロW』には実在の人物をモチーフにしたレスラーはいません! ゲームを購入しても、そのままではビクトリー武蔵やハリケーン力丸、冴刃明、スター・バイソン、アックス・ドゥガンを選んで、遊ぶことはできないのです。その代わり、『ファイプロW』には、完全新規のオリジナルキャラクターが約30人収録されています。僕も、このことを最初に知ったときは、少しショックを受けました。まぁ、そっくりさんレスラーというのは、いままでがグレーゾーンだったわけで、このご時世、新作を発売するために、思いきっていままでのファイプロレスラーの収録を見送る必要があったんでしょう。いわゆる、大人の事情ってわけですね。だからと言って、「じゃあ、『ファイプロW』ダメじゃん!」と決めつけるのは、まだ早い。その理由を説明しましょう。


 まずは、ディフォルト選手の魅力。実在の選手をモデルにしてはいないけれど、それぞれしっかりとしたコンセプトを持った選手が揃っているので、遊んでいくうちに、愛着が湧いてくること必至です。たとえば、ブラン・フレミングはアメリカンスタイルを体現しているし、マックス・バートランドは各種スープレックスを使いこなすアマレス系の選手。ミスター・コブラは、その名の通りコブラクローやコブラホールドといった各種絞め技を装備しているヒール系。鬼軍曹のニックネームを持つスティール・ジョンソンは、プロレスの基本的な技をマスターしている選手で、シリーズでいうところの若本一徹ポジションに当たります。相撲レスラーの暁富士や、U系スタイルの神田蒼士のほか、格闘家や女子レスラーも用意されています。また、デフォルト選手は、本作から追加された新技を、さりげなく装備しているのもポイントですよ。

 「でも、『リターンズ』と比べたら選手のボリュームが少ない!」とお嘆きのアナタ。本作『ファイプロW』は、レスラーをエディットできるクリエイトモードが、従来作以上に充実しています。そう、欲しい選手は、作ればいいんです。「でも、選手を作るのはたいへんじゃないの?」とお嘆きのアナタ。本作『ファイプロW』では、Steamを介して、ユーザーが作成した選手をアップロードでき、またその選手をダウンロードすることができるんです。ディープなファンの多い『ファイプロ』のことですから、アーリーアクセスが開始されれば、すぐにユーザーがエディット選手をアップしてくれるはず。ビクトリー武蔵やハリケーン力丸、冴刃明、スター・バイソン、アックス・ドゥガンといった、往年の『ファイプロ』オリジナルレスラーを作ってくれるユーザーもいるに違いない。なかには、職人レベルの人が、超ハイクオリティーの選手を作成してくれることもあると思います。このように、ネットで簡単にエディット選手をやり取りできるのが、本作『ファイプロW』の真骨頂。前作『リターンズ』では、攻略本やユーザーが公開したデータを参考に、自分の手で技や数値を入力しなければならなかったため、ライトユーザーがエディット選手を作成するのは、かなりたいへんでした。でも、ご安心を。『リターンズ』の発売から12年経ち、『ファイプロW』で、簡単にエディット選手のやり取りができるようになったんです。これなら、ディフォルト収録選手の数が少なくても、納得できますよね。


●実際にクリエイトモードでレスラーをエディットしてみた
 エディットを始める前に、まずやっておきたいのが、ミッションモード。与えられたお題をクリアーしていくモードで、遊んでいくうちに自然と『ファイプロ』の基本が学べる内容になっています。このミッションモードをクリアーしていくと、レスラーをエディットする際に必要となる“ポイント”の上限が増加。最初は、180ポイントしかないので、優秀なステータスや強力なスキルを持ったレスラーが作れないんです。また、クリエイトモードでは、ポイント上限アップのほか、新技の解放があることも見逃せません。

 ミッションモードをある程度こなしたら、いよいよクリエイトモードに挑戦。今回は、過去の『ファイプロ』シリーズに登場していた、アックス・ドゥガンを作ってみました。

 新規でレスラーを作る際に、まず“素体から作成”か、“モデルから作成”かが選べます。お手軽なのは後者で、最初から収録されているオリジナルレスラーをべースにして、新しい選手が作れます。アックス・ドゥガンを作るなら、アメリカンスタイルのブラン・フレミングか、パワー系のサム・ブロックスをベースにするといいでしょう。ベースにした選手の技やロジックがそのまま流用できるので、変えたいところだけ手を加えれば、比較的容易にエディットが可能です。ですが、僕は『リターンズ』でも相当な選手を作成してきているので、あえて前者の“素体から作成”を選び、あらゆるところに手を加えていく方法を選びました。“素体から作成”を選ぶと、ション・スミスという選手がベースとなります。


 まず、最初に決めるのは、顔です。今回、選べるエディットパーツ数が膨大で、とんでもないことになっています。『リターンズ』では、顔と髪型が一体化していたので、「顔はこのパーツがいいんだけど、髪型がちょっと違う」といった悩みがありました。ところが、『ファイプロW』は、顔と髪型がレイヤーで別パーツに分かれていて、自由に組み合わせることができるんです。各パーツごとに最大9枚のレイヤーを重ねることができるので、その組み合わせは無限大といっても過言ではないでしょう。さて、アックス・ドゥガンによさそうな顔を発見。4-4を選ぶと、髪型や髭、バンダナパーツもセットになっていました。ただ、色がついていないので、自分で色を設定します。はい、アックス・ドゥガンの顔のできあがり。体の色も統一して、日焼けをした褐色にしました。うん、それっぽくなってきましたね。

 おつぎは、コスチュームです。アックス・ドゥガンと言えば、来日していたときの黒ショートパンツ、アメリカでブレイクした際の黄色いショートパンツ、悪に染まったときの黒コスチューム、そして再びベビーターンしたときの黄色タイツなどがありますね。黄色いショートパンツは簡単に作れるので、今回はあえて黄色いタイツに挑戦してみました。とりあえず、黄色いタイツに赤いシューズを合わせて、ベースを作成。その後、迷彩模様のレイヤーを重ねて、独特の模様を再現します。このとき、赤い迷彩模様の上に、さらにオレンジの迷彩模様を重ねて、ちょっとにじんでボヤけた感じを出しました。シューズも、赤一色ではなく、黄色のアクセントを加えて、それっぽくしてみましたよ。

 外見が完成したら、各種データを入力し、使用する技を設定します。このへんは、過去作の攻略本のデータが参考になります。僕は、前作『リターンズ』のときに自分で作成したアックス・ドゥガンのデータをもとにしました。アックス・ドゥガンは、基本はパワーファイターなのですが、意外にもテクニカルスピンを使用したりします。これは、日本に来日していたときに、マスク・ド・パンサーが使用していたタイガースピンを見て、これはカッコイイと取り入れたみたいですね。スター・バイソンの必殺技のウエスタンラリアットを参考に、自分のアックスボンバーを生み出したりと、あざとくおいしいところをいただいちゃうのが、アックス・ドゥガンなんですよね。あと、アックス・ドゥガンは、ラフ攻撃も使います。顔面掻きむしりや噛みつきといった、ラフ攻撃も忘れずにセット。必殺技は、ダウン中の相手に走ってギロチンドロップ。各種パフォーマンスも欠かせません。

 技を決め終わったら、CPUロジックの設定です。ここが、『ファイプロ』のキモ。“相手が元気なときには、小技を何パーセントの確率で出す”、“相手が弱ってきたら、大技を何パーセントの確率で出す”といった風に決めていきます。ちなみに、前記のテクニカルスピンは、あまり多用はせずに、試合の序盤に1回出すか出さないか、といった程度の確率に設定しています。アックス・ドゥガンの必殺技は、ギロチンドロップ。試合の後半に、ロープへ振るハンマースルーの確率を高めに設定し、フロントハイキックを出すようにします。そして、フロントハイキックが決まって相手がダウンしたら、必殺技のギロチンドロップ。ギロチンドロップの後は、必ずフォールに行くように優先動作で設定すればオーケー。あとは、アメリカンパンチラッシュの使用頻度を多めにしたり、元祖アックスボンバーはフィニッシャーではなく、試合中盤のつなぎ技に設定すると、それらしくなると思います。

 さて、すべての設定が終わったら、一応完成。ですが、これからが、本当の『ファイプロ』です。作成した選手が、自分の思った通りに技を出してくれるかを、UPUどうしで戦わせてチェック。“この技は出し過ぎ”、“この技は、もっと後半で出すように”など、先ほど設定したCPUロジックをちょこちょこといじり、再度CPU戦を観戦。これを、自分が納得するまでくり返し、理想に近づけていくのです。この行為に夢中になると、あっという間に数時間が経ってしまいます。そして、CPUが理想の試合組み立てをしてくれたときこそが、まさに、至高のひととき。「『ファイプロ』最高!」を叫びたくなります。まぁ、このCPUロジックにこだわった観戦派は、『ファイプロ』ファンの中でもごく一部のマニアかもしれません。もちろん、ここまでしなくても『ファイプロ』は十分楽しめますので、ご安心を。


 最後に、アックス・ドゥガンひとりだけだと、ちょっと寂しかったので、もうひとり作ってみました。古巣のVIEW JAPANを飛び出して、海外で活躍し始めた、中山俊吾選手です。新しい顔パーツ、ちゃんとありましたよ! 片側を刈り上げた、独特の髪型の新規パーツが。ちなみに、エディットパーツの右に“H1”とありますが、これを変えると、グラデーションの雰囲気が変わります。具体的に説明すると、H1だと、明るい色と暗い色の差が小さいので、布などの素材でできた通常のコスチュームに合っています。そして、H3とかH4にすると、明るい色と暗い色の差が大きくなり、光沢のあるレザーやエネメル素材のコスチュームの表現にピッタリときます。今回、中山俊吾選手のパンツは、ここをいじって、素材のテカテカ度を上げました。必殺技は、これまた本作からの追加された、新技の変形飛び膝蹴りを設定。そして、夢の対戦を『ファイプロW』で実現させました!

●総評
 『ファイプロW』のアーリーアクセス版を、ひと通り触ってみたわけですが、内容に関しては、もう文句なし! 2000円[税別]でここまで遊べるなんて、最高ですヨ! 『孤独のグルメ』の井之頭五郎だったら、きっと、こう言うはずです。「ほー、いいじゃないか。そう、これ。これでいいんだよ。これがいいんだよ、『ファイプロ』は」。

 『リターンズ』から増えた新技に関しては、アーリーアクセス版が約60個。そして、製品版では約100個に増える予定だとか。実際に搭載されていた新技の傾向としては、『リターンズ』以降にメジャーマットで登場したものを中心に取り入れられている印象。新アピールも、少しですが増えていました。BGMやかけ声は、製品版でもっと増やしてほしいと感じました。

 多くのファンを持つ『ファイプロ』ですから、ユーザーの要望は際限ないでしょう。でも、今回プレイしたのは、製品版の前段階のアーリーアクセス版。本作のディレクターであるスパイク・チュンソフトの松本朋幸氏は、『ファイプロ』が作りたくてゲーム業界に入ったと公言しているほどの、『ファイプロ』ファン。誰よりも『ファイプロ』を愛している人物で、「できる限りユーザーの声に応えたい」とも言っています。だから、みんなで『ファイプロW』のアーリーアクセス版を遊んで、要望を出し、理想の製品版の完成を待とうではありませんか! ちなみに、製品版の価格はアーリーアクセス版よりも高くなる予定だそうですが、アーリーアクセス版を遊んでいる人は、無料のバージョンアップで製品版と同等になるそうなので、ご安心を。

 最後に、アントニオ猪木さんの名言でシメたいと思います。

「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ」



FIRE PRO WRESTLING WORLD(ファイヤープロレスリング ワールド)
メーカー:スパイク・チュンソフト
対応機種:プレイステーション4 / Windows
発売日:PC(Steam)アーリーアクセス版は2017年7月11日配信予定、プレイステーション版は発売日未定
価格:PC(Steam)アーリーアクセス版は2000円[税別]
ジャンル:アクション

最終更新:7/10(月) 17:03
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