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モスル奪還 IS掃討は新局面、焦点はラッカへ

7/10(月) 7:55配信

産経新聞

 【アルビル(イラク北部)=佐藤貴生】イラク北部モスルの奪還作戦でアバディ首相が勝利を宣言したことで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)との戦いは、ISが「首都」だと宣言したシリア北部ラッカへと焦点が移る。シリアをめぐっては米露主導の停戦合意が一部地域で発効したものの、順守されるかは不透明だ。

 ラッカをめぐっては、米軍などが支援するシリア民主軍(SDF)が旧市街に進入し、着実にISから支配地域を奪っているもようだ。ただ、奪還が実現したとしても、どのような勢力が現地を統治するかという受け皿に関する議論はほとんど行われていない。

 また、停戦が発効したのは南西部のヨルダンやイスラエルとの境界近くの3地区にすぎない。過去にも停戦合意は破綻している上、米露はアサド政権の存続に関して正反対の立場を取っている。この点がイラク情勢との大きな違いだ。

 懸念材料はほかにもある。SDFはアラブ人とクルド人の民兵が混在しており、シリアの隣国トルコは自国内の非合法クルド人組織の「分派」を米国が支援しているとして、強く反発している。米国が敵視するイランも6月中旬、首都テヘランの同時テロへの「報復」として、シリア東部デリゾールのISの拠点に中距離ミサイルを発射した。

 米露に加えて中東の大国もそれぞれの思惑で行動しており、調整に相当な困難を伴うことは必至だ。

 欧米ではISの組織的支援を受けず、インターネットを通じて共鳴した単独あるいは小人数のテロが横行している。この状態はモスルやラッカの情勢とは別に今後も続く公算が大きいばかりか、ISが劣勢に立たされていることへの反発から、激化する可能性さえありそうだ。

最終更新:7/10(月) 7:55
産経新聞