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九州豪雨 土砂ダム、決壊恐れ 依然として危険な状況

7/10(月) 15:08配信

産経新聞

 記録的な豪雨に襲われた九州北部は10日、今にも雨が降り出しそうな不安定な空に覆われた。大分県日田(ひた)市では5~6日、大規模な土砂崩れが発生するなどして地域思いの消防団員やお客さんから親しまれていた元タクシー運転手夫婦の3人が犠牲になった。家族や知人らが悲嘆に暮れる中、土砂崩れで川がせき止められてできた「土砂ダム」が決壊する恐れも高まっており、依然として危険な状況が続いている。

 小野地区の消防団員、山本岳人(たけと)さん(43)は6日、被災状況を確認しようと外に出たとき、土砂にのみ込まれた。

 「陽気で明るくて、地域のみんなから慕われていた。消防団の活動にも積極的だった」。消防団仲間の権藤健一さん(39)は無念そうに話す。

 ガソリンスタンドで勤務していた山本さんは正義感が強かったといい、「地域を守りたい」と約10年前から消防団員として活動。元消防団員の高瀬重光さん(67)は山本さんが亡くなる前日、雨でびしょびしょにぬれながら住民らに避難を呼びかける姿を見かけた。高瀬さんは「『えらいぬれたな。風邪引くぞ』と声をかけると、『大丈夫』と笑顔で返していたのに…。死ぬにはまだ若すぎる」と肩を落とした。

 小学5年の息子、中学1、3年の娘の3人の子供をかわいがっていたといい、学校行事には趣味のカメラを手に必ず参加。知人で市議の井上正一郎さん(63)は「入学式や運動会などの行事で楽しそうに撮影していた。残された子供たちのことを考えると胸が痛む」と唇をかんだ。

 市内では元タクシー運転手の夫婦、矢野英俊さん(79)と知子さん(70)も犠牲になった。

 知子さんは地元のタクシー会社で20年以上勤めていた。同僚によると、事故や交通違反はなく、一度乗せた客の名前や住所をすぐに覚えており、声がかかると「はいはい、あそこまでね」とにこやかに応対していたという。「人の命を預かる仕事。高齢ドライバーの事故も増えているし、事故を起こして迷惑をかけたら大変」と4月に退職したばかりだった。

 9日夜に営まれた通夜で、次男の修さん(38)=千葉県=が「みなさんにも突然、家族がいなくなるときが来るかもしれません。どうかご両親と悔いが残らないよう過ごしてほしい」と声を震わせた。

最終更新:7/10(月) 15:30
産経新聞