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「信じられない」窯もろくろも土砂に埋もれ 350年続く小石原焼、壊滅的な被害

7/10(月) 11:26配信

西日本新聞

 大型の窯も、ろくろも、完成間近の陶器も大量の土砂に埋もれた。壊滅的な被害を受けた東峰村小石原鼓の「原彦窯」。代表の梶原正且さん(70)は「大きな土砂の塊が一気に作業場に流れ込んだ。信じられない光景だった」と話した。

【動画】もの凄い勢いで濁流が道路にまで流れ込む様子(JA田川彦山出張所付近)

 「どおーっと、こがん大きな塊が一気に流れてきた」。8日、なお茶色に濁った水が音を立てて流れる作業場沿いの沢を見ながら、梶原さんは大きく手を広げた。記録的豪雨に襲われた5日夕、上流で土砂をせき止めていた倒木が崩れ、大きな石や土砂が一気に流れ出た光景を作業場の2階から見たという。

 大型の窯を設置している作業場には最大約2メートルの土砂が堆積する。「外付けのバーナーがやられているだろう。もう使い物にならない」。隣の部屋にある愛用のろくろや土を練る機械も土砂の中。納品予定の陶器もどこにいったのか分からなくなった。

350年の歴史を誇る小石原焼は村の基幹産業

 豪雨の後、まだ見ていないという沢の上流を梶原さんと一緒に歩いた。護岸のブロックは崩れ落ち、田畑は土砂ですっかり姿を消した。沢の流れも変わり、樹皮のはがれた長さ4、5メートルの倒木があちこちに横たわる。「すごすぎる。昔の、というか数日前の面影は全くない」と驚き続けた。

 梶原さんは脱サラ後、村内の別の窯元で修業し、1991年に原彦窯を創業。帰郷した長男と妻の3人で働く。伝統の飛びかんなのデザインを軸に若い世代にも受け入れられるようなカップや食器を製作する。

 豪雨がなければ、都内の展示会への搬出や納入期限の迫った商品の製作に忙しかったはずだ。「どうしたものか。自分たちだけではどうしようもこうしようもない」。自宅への被害は免れたが、土砂を運び出さないと何も始まらない。不安と焦りが交錯する。

 村はまだボランティアの受け入れを始めていないが、梶原さんは多くの人の支援を求めたいという。「人の手を借りても、時間がかかっても、何とか再建しなきゃな」。350年の歴史を誇る小石原焼は村の基幹産業。伝統を背負う一人として、誓う。

=2017/07/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:7/10(月) 11:26
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