ここから本文です

銀行の資金運用難が鮮明に、預証率が調査開始以来で最低の26.9%

7/10(月) 13:31配信

東京商工リサーチ

銀行114行「2017年3月期 預証率調査」(単独決算ベース)

 銀行の資金運用状況を示す「預証率」が2017年3月期は26.9%に低下した。2013年3月期から5年連続で前年同期を下回り、調査を開始した2006年3月期以来、最低を記録した。これは各行がマイナス金利で金利リスクの抑制策として国債売却を進め、保有する有価証券額が大幅に減少したこと。さらに、業績回復で手元資金が厚くなった企業、将来に備えた高齢者などの個人資金が貸出金の増加を上回るペースで預金として流入したことが背景にある。
 貸出や証券投資に運用されない余剰資金である「現金預け金」は、前年同期より2割増に積み上がり、資金運用難の苦境に陥った銀行の姿を映し出している。

※ 本調査は、国内銀行114行を対象に2017年3月期単独決算の預証率を調査した。預証率は預金残高に対する有価証券残高の比率で、金融機関の資金運用状況を示す指標の一つ。預証率=有価証券÷(預金+譲渡性預金)で算出し、有価証券は貸借対照表の資産の部に計上される「国債」、「地方債」、「社債」、「株式」、「その他の証券」を合計した。「預金」と「譲渡性預金」は、貸借対照表の負債の部から抽出し、合計した。
※ 2012年4月1日に住友信託銀行・中央三井信託銀行・中央三井アセット信託銀行の合併で発足した三井住友信託銀行は、過去データとの比較ができないため、調査対象に含まない。

2017年3月期の預証率26.9%、5年連続減少
 銀行114行の2017年3月期単独決算の預証率は26.9%で、5年連続で前年同期を下回った。
 3月期決算の預証率は、2012年は歴史的な円高水準で大手企業の設備投資意欲が減退し、急速な市場悪化で株式、社債の比率も低下した。また、銀行の中小企業向け貸出も慎重になり資金が国債へ流入したため、預証率は42.4%にまで上昇した。
 2013年4月に日銀が「異次元金融緩和」を発表。銀行等から積極的に国債を買い入れ、その代金を金融機関の日銀当座預金に振り込む形で実施した。さらに2014年10月に長期国債の買い入れ拡大などの追加金融緩和を決定、大手銀行を中心に国債売却が進み、有価証券残高が減少した。

「国債」残高は79兆円に減少、9年ぶりの80兆円割れ
 銀行114行の2017年3月期の資産運用、投資目的で保有する「有価証券残高」は、211兆6966億5700万円(前年同期比9.7%減)で、2年連続で前年同期を下回った。
 内訳は、「国債」(構成比37.9%)が79兆4962億5700万円(前年同期比18.0%減)と大きく減少。3月期では、2008年(74兆3245億2000万円)以来、9年ぶりの低水準となった。

1/2ページ