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「見捨てられた気持ちに」情報なく焦りの色 道なき道、土砂かき分け 山深い集落、捜索全力 福岡県朝倉市・杷木

7/10(月) 15:57配信

西日本新聞

 福岡県朝倉市では、いまだ連絡が取れない安否不明者の捜索が続いている。土砂で寸断された道は車も入れず、捜索隊は歩いて道なき道を進む。家族も不安そうに見詰めている。

【動画】もの凄い勢いで濁流が道路にまで流れこむ様子(JA田川彦山出張所付近)

 朝倉市杷木志波の道目木地区。いまだ4人の住民と連絡がとれない。10日午前9時すぎ。自衛隊車両は地区に通じる県道の土砂崩れ現場で集合。車を降りた。道路左手の山肌がむき出しになり、土砂と流木が小山のようにうずたかく県道を覆っていた。

 隊員約20人は1メートルほどの枝をつえ代わりにし、足場を確認しながら進む。土砂と流木の小山をかき分けた先では、道が右手の川に崩れ落ちていた。

 ここからは川沿いを進む。川は流れが強く、膝下まである長靴から水が入ってきた。踏ん張って歩かないと水の流れに足をとられる。自衛隊員が近くの流木約5メートルを川にかけ橋がわりにした。周辺には本流とは別に幅1・5メートルほどの濁流が幾筋も流れている。

 地区の入り口付近に立つ道目木公民館は無残な姿をさらしていた。十数本の流木が公民館に食い込み、壁を崩していた。

 安否が分からない兄の家に向かう男性(58)と会った。兄は大工で、久留米市内の病院に入院中の母親の面倒を見てくれていた。子どもの学費も援助してくれ、優しいお兄さんだという。「家の中には入れないが、近くでクレーンの資格証明書を昨日、見つけた」

 捜索隊は、安否不明となっている人の自宅を通りかかった。2階建ての車庫の1階部分は土に埋まり、別の捜索隊がスコップで穴を掘り、重機で家の周囲を覆う流木を動かしていた。9日昼は重機が入らず、すべて手作業。足場が整えば、捜索のスピードも上がるかもしれない。

 同地区から無事逃れた住民約10人は、朝倉市杷木の多目的施設「サンライズ杷木」に避難しているが、情報が得られず、焦りの色がにじむ。足立文博区長(53)は「誤った情報もあり、みんな気が気でない。自分たちの山あいの町は見捨てられたという気持ちにもなる」と不満を口にした。

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最終更新:7/10(月) 17:18
西日本新聞