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テレパシー実現なら採用面接どうなる?

7/10(月) 14:32配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 人間は何千年にもわたって、テレパシーを使ってコミュニケーションをすることを夢見てきた。長距離通話の料金を減らすためだけでもテレパシーを使いたかった。この手の届きそうにない夢が、ようやく実現するかもしれない。

 交流サイト(SNS)の米フェイスブックは、4月に開催した年次開発者会議「F8」で、人間がテレパシーでコミュニケーションできるようにする取り組みを進めていることを明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事(これは本物だ)によると、社内チームが全米の科学者とエンジニアら60人の支援を受け、「高速光散乱」または「事象関連光信号(EROS)」と呼ばれる技術に取り組んでいる。人間が考えるだけでメッセージを入力できるようにする技術だ。

 このプロセスは基本的に、頭の中に光を当て、脳から反射される光の強さを計測することで機能する。フェイスブックは、計測した神経活動から、人々が何を考えているかを読み取れることを期待している。

 それが実現すれば、他人の脳と直接やりとりすることも可能になるかもしれない。高根の花の女性に夢中になっている若い男性が、ひざまずいて彼女に結婚を申し込むといったリスクを冒す必要はなくなる。「ごめんなさい」と断られることが既に分かっているからだ。野球の捕手が股の下に2本の指でサインを出して、カーブやフォークボールを投手に要求することもなくなる。脳波が全てを行うからだ。

 ネット通販大手のアマゾンも多大な恩恵を受けるだろう。家電製品や書籍、職人手作りのキッパー(薫製の魚)やダン・フォーゲルバーグのアルバム「グレーテスト・ヒッツVol.2」の注文が入るのを待つまでもなく、顧客が脳波で注文をするようテレパシーで促せるからだ。

 もっと大きな恩恵を受けるのは、正当に評価されず、まともな職に就けないミレニアル世代だろう。この世代は電話で話すことを嫌い、インターネットのチャットや携帯電話のメールを使うことを好む。テキストメッセージを通じた面接を始めた採用担当者もいるほどだ。テレパシーはこれをもう一歩進めるだろう。テレパシー面接なら、ミレニアル世代が文字を入力する必要さえなくなる。

 面接はこんな具合に行われる。求職者が考えていることを採用担当者に発信する。「わたしは情熱的で有能な人物です。宇宙物理学の博士号を持ち、9カ国語を話せます。足掛かりをつかむため、辺ぴな場所にある御社のタコス・スタンドでタダ同然で働くのもいといません」

 これに対し、採用担当者はこう答えるかもしれない。「医療給付は一切行わないし、確定拠出年金(401k)もない。あなたには週90時間働くことを期待する。それと、給与もない。インターンシップだからだ。何か問題でも?」

脳波を遮断するフード

 「全く問題ありません」と求職者はテレパシーで答えるだろう。「親元でくすぶっている状態から抜け出せるなら、何でも構いません」

 このようなテレパシー交信には幾つか欠点があるのは確かだろう。テレパシーのメッセージを同時に多く扱いすぎると、脳がオーバーヒートするかもしれない。例えば証券会社が本来とは違う株式をショート(売りポジション)にしたり、医師が別の足の指を切断したりする恐れがある。また新しい上司やブラインドデート(第三者の紹介で面識のない男女が出会うこと)の相手に会ったとき、心の中で反射的に「こいつは嫌なやつだ」と思うと、すぐに雲行きがあやしくなるだろう。

 だが、脳波を遮断する「鉛の裏地付きのフード」をかぶれば、こうした問題に対処できるかもしれない。誰も心の奥底まで入り込めなくなるからだ。もちろん、連邦準備制度理事会(FRB)の議長が議会証言の際に、利上げをしようとしているのか誰にも知られないようフードをかぶれば、かなり間抜けに見えるのは言うまでもない。だが、それは米国の金融システムの安全性を確保するための小さな犠牲だ。しかも、鉛の裏地が付いたテレパシー妨害フードのおかげで、FRBがカッコよく見えることは間違いない。

By Joe Queenan