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思い咲かせ15年 街の美化実現へ花植栽 保土ケ谷区の藤澤さん

7/10(月) 9:41配信

カナロコ by 神奈川新聞

 街角に花の彩りを添え続けている男性がいる。横浜市保土ケ谷区の藤澤俊三さん(66)。都内で園芸植物の卸売販売業を営む傍ら、地域の片隅に花を植え、その手入れに励んできた。「地元の人に気持ちよく過ごしてもらいたい」。そんな気持ちで人知れず汗を流し、もう15年になる。

 花を好きになったのは、もうずっと前のことだ。都立園芸高校(東京都世田谷区)に進み、卒業後は花の卸売業者に就職した。

 しばらくしてから自宅マンションの敷地内などで、少しずつ花を育てるようになった。ただ、道行くと空き缶が転がり、草が生い茂っている。心のどこかに引っ掛かっていた。

 長年抱いていた思いを、咲かせようとしたのは51歳のころ。

 「自然が減っている時代だからこそ、緑や花の魅力をみんなに伝えたい」

 バイパス沿いに広がる自宅近くの空き地で、一人ごみを拾い、雑草を刈り取っていく。遠くからだと煙にも見える、綿毛のような穂が特徴のスモークツリーを植えた。

 仕事の合間を見ながら手は休めなかった。2年後には、約1400平方メートルあった空き地は、花や木でいっぱいになった。今では区内の8カ所で花を植栽し、息子が住んでいる東戸塚周辺にも、その活動の範囲を広げている。

 花の種類や植え方には、植物の仕事に携わる者だからこそのこだわりがあるという。

 通りに面している方から見て、奥には緑を、手前には花を植え、開花した時にそれぞれの花の色が映えるよう知恵を絞る。四季の訪れも感じられるように、こまめに苗を入れ替えることにも気を配る。

 花の苗は、自社から自費で購入。あくまでもボランティアだ。作業が、休日の午前4時半ごろから午後6時ごろにまで及ぶこともある。それでも、やめようと思ったことは一度もない。

 「雑草やごみとの戦争」と苦労を語りつつ、「放っておくと枯れてしまう。花は待ってくれないからね」と汗を拭う。「通り掛かった人から、きれいですねと声を掛けられると疲れも吹き飛んでしまう」と目を細める。

 一歩を踏み出した、あの空き地には、エンドレスサマーやアナベルなどさまざまな種類のアジサイが咲き誇っていた。「咲いた時の色のグラデーションを考えるのも、楽しみの一つなんですよ」。丹精込めて育てた花々を見やり、ほほ笑んだ。