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FIA F2 オーストリア:崖っぷちとなった松下信治、次戦シルバーストンが正念場

7/10(月) 20:22配信

オートスポーツweb

 FIA F2第5戦のオーストリアは、松下信治にとってチャンピオンシップの流れを引き戻す重要なターニングポイントになるはずだった。

FIA F2 第5戦オーストリア グリッドに並ぶ松下信治

「マシンの仕上がりはアベレージ(良くもなく悪くもなく)だと思います」 

 一発のタイムではプレマ勢が圧倒的な速さを誇り、レースペースではダムス勢もそれに匹敵してくる。そんな中でART勢はレッドブルリンクでもやや苦戦を強いられることになった。

 松下の最初の躓きは予選だった。
「セクター1、2は素晴らしい走りができたんで『いけぇ~!』と攻めたらセクター3でプッシュしすぎてしてまって、コーナー3つともこんな状態(カウンターを当てた手振り)になってしまって。セクター3だけでコンマ5秒遅かったですからね。スマートではなかった」

 予選6位で上位に規定違反のマシンがあったため、土曜のレース1は5番グリッドからのスタート。いつものように好発進を決めて4位に上がったが、F1でもそうだったようにレッドブルリンクはオーバーテイクが難しく、チームメイトのアレックス・アルボンを抜きあぐねているうちに首位のプレマ勢とは差が開いてしまった。

「3周目くらいまではペースがすごく良くてアレックス(・アルボン)の前に行けそうだったんですけど、あそこで行けなかったというのが今日の僕の反省点です。タイヤを労らなければいけないというのもありましたが、終わってみればあそこがチャンスだったと思うし、チャンスだと思ったときは常に躊躇せずに攻めていかなければいけないと痛感しました」


 プライムのソフトタイヤでスタートし、20周目あたりからはフロントがタレてアンダーステアが厳しくなってきたが、10周もしないうちにリヤもタレたことでマシンバランスは良くなってペースが上がった。

 31周目に首位シャルル・ルクレールがピットインしたのに合わせて3位のアルボンがピットインし、松下もその翌周にピットに向かったが、ピットアウトするとオプションのスーパーソフトでスタートし序盤にタイヤ交換を済ませていたダムス勢の後方でコースに戻ることになってしまった。結果的にアンダーカットを許した格好だ。

「リヤがタレてきたことでクルマのバランスが合い始めて『良いな』と思ってたんですけど、結果的に見ればソフトであと1周引っ張っていれば2秒は速く走れたと思うし、ピットストップでダムスの2台に前に行かれたのはもったいなかったですね。選手権のことを考えると、(ニコラス・)ラティフィはローランドほど強敵ではないと思うけど、(オリバー・)ローランドに前に行かれたのは痛かった……」

 スーパーソフトを履いた第2スティントでは全車中で最速のペースがあり、松下は34周目にこのレースのファステストラップを記録し、6位8ポイントと合わせて計10ポイントを獲得した。

 これ自体は満足できる結果ではなかったが、リバースグリッドで3番スタートとなるレース2でしっかりと勝てばレース週末としては悪くない。大荒れで大混戦のFIA F2選手権の中では、目の前の結果だけではなく大局を見てレース週末にある2戦の両方をきちんとまとめて着実にポイントを積み重ねることも重要になる。

「レース1の結果は悔しいけど、よくよく考えると一番大事なのはチャンピオンシップだし、今日10ポイント獲って明日も優勝できれば一番良いですからね。今はそこに集中します。(ポールポジションのアルテム・)マルケロフは普通に良いスタートをするでしょうから、僕はスタートを決めて(ラルフ・ボシューンを抜いて)2位に上がって、あとはマルケロフを抜けるかどうかが鍵になると思います」


 レース1を終えた時点では、悔しさを滲ませながらもすぐに気持ちを切り替えてレース2の優勝を視野に入れていた。このメンタル面の成長が、今年の松下の強さだ。

 しかし激しいバトルが繰り広げられるFIA F2のレースでは、メンタルだけでは勝つことはできない。速さも必要であり、運も必要だ。ここまで全戦でポールポジションを獲得しオーストリアでもレース1で優勝したルクレールでさえ、レース2では目の前のバトルに巻き込まれて接触しリタイアを余儀なくされたほどだ。

 日曜のレース2では、スタートに問題があった。5つ灯ったスタートシグナルがなかなか消灯せず、何台かのマシンがクラッチミートのタイミングを逸して出遅れてしまったのだ。松下もその中の1人だった。

「レッドシグナルがあまりにも長かったのでリスタートになるのかと思ったんですけど、そしたらライトが消えてスタートになって、それで完全に出遅れてしまいました」

 さらに直後のターン1で両側を挟まれる格好になって行き場を失い、接触されてランオフエリアに逃げているうちに最後尾の17番手まで落ちてしまった。


「ターン1でブレーキングを一番奥まで突っ込んでいって、それは良かったんですけど、前にいた(アントニオ・)フオッコに幅寄せされて行き場を失ってしまって。さっき彼も『見てなかった、ゴメン』って謝ってきましたけどね。それで3台並んで真ん中に僕がいて、大丈夫かなと思ったけど後ろにいたマシンにも当てられてターン1の外に行ってしまって」

 これでタイヤにフラットスポットを作ってしまったため、それ以降はまともなペースで走ることもできず入賞すらままならなかった。

 レース後、松下は大きく肩を落としていた。
「本当に今日のレースは痛かったですね。まだ終わったわけじゃないですけど、崖っぷちですね……」

 レース2は選手権3位のマルケロフが優勝し、選手権2位のローランドが3位。選手権上位を争うローランドやマルケロフがポイントを重ね、彼らとの点差が開いてしまったうえに松下のランキングは6位まで落ちてしまった。

 FIA F2の2017年シーズンは次週のシルバーストンで折り返し地点を迎える。
 まさに崖っぷち。松下は正念場でどんな戦いを見せることができるのか、真価が問われることになる。


[オートスポーツweb ]