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反社会勢力の攻撃や災害で「電子決済」網ダウン? 中国「無現金社会」へ正念場

7/11(火) 6:30配信

ZUU online

中国の「無現金社会」は目前に迫ってきた。しかしさまざまな問題にさらされている。

第三者機関のデータによると、2016年の中国第三方支付(現金でもクレジットカードでもない決済)の総決済額は57兆9000億元(約960兆円)となり、前年比85.6%も伸びた。

そのうちモバイル決済の規模は38兆6000万元で、これはすでに米国の50倍になっている。あまりに急速な発展ぶりで、中国はすでに無現金社会に足を入れた状態である。官製メディアの「人民網」は、現状の問題点を分析して伝えている。

■天の時、地の利、人の和

中国の電子決済がなぜこんなに大きな風水を巻き起こしたのか。天の時、地の利、人の和、の総合作用の結果である。

天の時とは、全世界が無現金社会への趨勢にあることだ。例えば韓国政府の2020年における計画では、硬貨の流通は消失している。またデンマークでは、現金での支払いを拒絶する商店が認可された。クレジットカードとモバイル決済の専用だ。

人の和とは、中国における移動通信設備とスマートフォンの急速な普及である。2016年末、中国“網民”(ネットとつながる人)は7億3100万人となり、前年より4299万人増えた。そのうちスマホ網民は6億9500万人、増加は550万人だった。スマホ増加はどうやら終端にまで達した。

地の利は、最も重要な要素である。現在、中国人民銀行(中央銀行)では267件の第三方支付の営業許可を発行している。2010年以来この新しい決済市場規模は、過去7年50%ペースで増加し、今や全世界のリーダーとなった。

■ユーザー教育とセキュリティー

伝統的な現金の流通と決済に比べ、電子決済がより優れているのは明白だ。金融業界の労働力や社会資源の節約となり、現金犯罪や偽札作りも減少する。ただし、ユーザー教育、反社会勢力の駆逐により、システムを守らなければならない。

まずユーザー教育である。電子決済の利便性は、すべての人が利用できるわけではない。例えばモバイル機器を扱えない老人たちだ。これは無現金を志向するデンマークでも大きな問題となっている。デンマークの退職老人たちは、ゆっくりした無現金社会への道のりを希望している。中国は少し拙速過ぎる。

次はセキュリティの問題である。電子決済には、現金の盗難、紛失リスクはない。しかし電子決済はシステムの情報漏えいに起因する高度な新型詐欺に直面しているのだ。反社会的勢力の攻撃をかわし情報漏えいを防衛しても、電子金融の流通過程と実際の決済という両面において、莫大な損失を出している。次から次へと発生する電子詐欺の事例は数えきれない。

最後はシステムダウンのリスクである。自然災害発生時、光ファイバー網などの末端設備がダウンしたら電子決済はどうなるのだろうか。反社会勢力のシステム攻撃や情報漏えいなど人災に対してはどうなのか。無法状態となっても消費と決済を続けていくのだろうか。記事は、まだその解答は見えていないと結ばれている。

■2トップのリスク管理は大丈夫か

最後に電子決済をけん引している2社の対策を見ておこう。アリババ集団の支付宝と、テンセントの財付通(微信支付+QQ銭包)である。2017年第一四半期の決済シェアは、支付宝53.7%、財付通39.5%と両者で93%以上を占めている。

支付宝は2013年末、1500~2500万件に及ぶ情報漏えい事件を起こした。支付盾というセキュリティソフト(有料)や、専用の保険(年4.88元の掛金で1万元まで保障、最高は掛金135.88元で保証額50万元)などの外部対策を充実させている。

微信支付は、技術保障、顧客サービス、業態連盟、安全機制で顧客を守るとしている。安全機制とは暗唱番号異常、端末異常、取引異常などの判断と凍結を速やかに行うことだ。どちらかというと内部体制の充実を強調している。

人民網は人民日報系の官製メディアである。これまで電子詐欺の事例は、地方紙に地元の事件がポツリポツリ報道される程度だった。今回の報道は、かなり全体冷や水を浴びせるような内容だ。2トップのセキュリティ対策も果たして十分なのか。お寒い実態について、発言せずにはいられなかったというところではないだろうか。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

ZUU online

最終更新:7/11(火) 6:30
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