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路線価発表、1位は32年連続で銀座・鳩居堂前。では「2位以下」はどうなっている?

7/11(火) 6:40配信

ZUU online

今年も路線価が発表された。1位はもうおなじみの東京・銀座「鳩居堂前」。32年間不動の1位である。なぜ毎回同じ場所が1位なのか。2位以下はどうなっているのであろうか。また他の都道府県でも同じような結果になっているのであろうか。

■2017年発表の路線価が示すものは

毎年7月に国税庁から発表される路線価。相続税の算出時や金融機関が不動産の積算価格を算出する際に参考にする。路線価は公示価格をベースにその約8割で設定されている。2017年度の発表でも32年連続で銀座の鳩居堂前が最も高いという結果で、1平方メートルあたり4032万円である。その上昇率は去年比で26%でもある。

さらにこの4032万円という価格の驚くべき点は、過去最も高い価格であったバブル期の3650万円を大幅に上回ったという結果である。バブル期よりも高い価格。これが全国的にも同じ現象として表れているのだろうか。もしそうなら、今年に入ってから騒がれている「賃貸アパートへの融資残高がバブル期を超えた」ことで金融庁が懸念しているのも、取り越し苦労だと言える。

実際の取引価格よりも控えめな路線価価格がどの地域でも上昇しているのであれば、不動産投資にもそれほど悪影響ではないはずだ。

しかし実際には2位以下、特に下位に位置する地域での路線価こそが、社会問題を浮き彫りにしている。

■2位下も東京オフィスエリア、郊外の住宅街は下げ止まり

発表されている路線価のランキングについては、その地点で最も高い価格の位置を示している。また都道府県別の1位について同様に発表がされているが、その他のエリアでも同じように土地価格の高騰がみられるのだろうか。

国税庁発表の路線価について、同じ都道府県内でのランキングについてはデータとしては確認できない。

しかしエリア別の地価ランキングでは、2位は東京駅付近、3位も同じく銀座1丁目あたり、次いで京橋、八重洲と続くことが分かる。上昇率も平均4.5%前後であり、高い場所では10%にも達する。大阪や神奈川、名古屋などの主要都市については、いずれも同じような結果で、長年ランキングで上位に上がっているオフィスエリアは、JREITや東京オリンピック・パラリンピックへの本格的な準備期間に入ったことで上昇率を一気に上げたとみている。

商業地はバブル期を追い抜く勢いの地価高騰だと言える。だが東京23区の住宅地における全国平均ではバブル期の半値以下の地価を示している。バブル期では平均136万円/平方メートルであったのに対し、2017年では55万円/平方メートルである。八王子や町田市の郊外の住宅地はここ数年ずっと下げ続け、ついに下げ止まったという見方である。価格は1314万円代/平方メートル。

バブル期であればこのような郊外の住宅地も同じように高騰していた。銀座の一等地だけの路線価がバブル期の価格を超えているという状況は、都市部だけに人が集まりそれ以外の過疎化が急速しているという証拠であろう。

■一部のエリアだけに人やマネーが集まる

東京以外の都市部でも、インフラの整備があった場所やインバウンド効果が見込めるエリアなどでは、価格の上昇がみられる。

だが郊外の住宅地は、東京都と同じような現象か、さらに深刻な下落をたどっている。大阪ではバブル期前後に庭付き一戸建てを求めて郊外化が進み、地価の高い大阪中心部は人の住まないエリアになっていた。公立の小、中学校が児童減少により廃校され、その土地らは大阪市の財源を潤すために売却されていった。今になってそれらの土地にタワーマンションが建ち並び、郊外からの転入が急増し、小学校不足だと自治体に抗議している。なんとも言えない土地事情の結末である。

人口が減少し続ける中で、これほどまでに都市部だけに人が流れることが更に進むと、ゴーストタウン化し破綻する自治体もでてくることは避けられないだろう。

路線価や公示価格のトップエリアだけに目を向けるだけでは、仕事、住宅、いずれにしても自身の拠点をどこにおくべきなのかの判断はできない。それぞれのライフスタイルと30年後くらい先の不動産市場を見据えて選別していくことが更に重要になるだろう。

格安になった地方の住宅地にIターン移住する人達の数もじわじわと増えているようだが、まだまだ首都部への転入の10%以下だという。今後はクラウドワーク的な仕事をするデザイナーやIT技術者など若い世代の郊外への移転が積極的に進んでいくような政策も必要なのかもしれない。(片岡美穂、行政書士、元土地家屋調査士)

最終更新:7/11(火) 6:40
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