ここから本文です

業績好調のサイゼリヤ 成長の理由は?

7/11(火) 7:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 イタリアンファミリーレストランチェーン、サイゼリヤの業績が好調だ。新規出店で売り上げが伸びているだけでなく、既存店の底上げもうまくいっている。既存店の売上高は2016年6月から13カ月連続でプラス(前年同月比)である。

【マルゲリータピザとグラスワイン】

 17年8月期第2四半期決算によると、半年間の国内売上高は559億2000万円(前年同期比3.2%増)、営業利益32億3600万円(同60.0%増)。国内店舗数は1034店となっており半年で6店増えた。顧客からの厚い支持を裏付けている。

 近々発表される第3四半期決算も期待できそうだ。

 サイゼリヤの最大の特徴といえば、圧倒的な安さである。同じ業態であるガストの顧客単価が約850円なのに対して、サイゼリヤは726円。大手ファミレスの中でも断然の安さとなっている。

 この低価格には理由がある。サイゼリヤ創業者の正垣泰彦会長が67年に千葉県市川市で1号店をオープンした当時、目につきにくい立地だったため集客に苦戦したそうだ。

 メニューの価格を半額にしてみたが、それでも顧客が来なかったので、さらに7割引にした。すると、大行列ができるほどの繁盛店となったのだ。1日に20人しか来なかった店に、800人も来るようになった。1つの店でさばき切れないので、周囲に店舗を増やして、多店舗化に成功した。

●好調要因は立地戦略

 立地が悪く、集客に苦労した経験があったからだろう。正垣会長は著書『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』の中で、売り上げを伸ばすのに最優先で考えるべきは「立地」だと述べている。同じメニューを出していても、立地次第で売り上げが変わるのが現実だからだ。だとすれば、今日の好調要因としてまず考えられるのは立地戦略である。

 サイゼリヤが直近で出店している立地を見てみると、駅前や駅前のショッピングセンター、商業施設にシフトしていることが分かる。

 サイゼリヤの公式Webサイトでは、現在9店の新店情報を掲載しているが、そのうち駅前立地が7店。いわゆる、ロードサイドの郊外型店舗は1店もない。駅前を狙って出店している。

 一方で、ここ1年程の間に閉店した店は、駅から少し離れた場所にある店や郊外型店舗が多い。郊外型の不採算店をどんどん閉める一方で、それ以上にアクセスの良い駅前やショッピングセンターへ店をオープンしているのだ。

 サイゼリヤではイタリア直輸入のグラスワインを1杯100円(税込、以下同)という缶ジュース並の価格で提供している。500円で頼めるサラダ・スープ付き平日ランチや、299円のミラノ風ドリア、399円のマルゲリータピザといった定番の人気メニューに、この1杯のワインを追加する顧客が増えている。

 サイゼリヤのちょい飲みが好調なのは、299円、399円のおつまみになるメニューの充実や100円ワインといった低価格の魅力ばかりではなく、クルマで行く必要がない、お酒が飲みやすい場所に店を戦略的に移しているからだ。

●海外のお値打ち品を格安で提供

 今春から、イタリアでは定番の「セミフレッド」というデザートが投入されている。アイスクリームとケーキの中間のような半解凍の食感が特徴で、グラスワインと同様にイタリアからの直輸入品だ。ティラミス、メリンガータ、アマレーナの3種で、199円となっている。

 イタリアンプリンとのセットもあって399円。これらセミフレッドを中心にシチリアレモンのソルベ、ミルクジェラートといった199円で提供している氷菓を、食事の後で楽しむ顧客も多い。

 サイゼリヤでは要所にイタリアから直輸入した同チェーンならではの食材を配して、こだわりを持つ専門店であることをアピールしている。海外のお値打ち品が格安で味わえるスペシャル感を演出しているのだ。

 サイゼリヤがこの価格で商品を提供できるのは、1000店舗を超えるスケールメリットもあるが、自社で食材の生産を手掛けていることが大きい。

 注目すべきは自社農場で種から開発していることだ。例えばレタス。普通のレタスには1玉でサラダ2~3皿分の可食部分しかない。これでは効率が悪いので、レストラン用に1玉から5~7皿取れる大玉レタスへと品種改良した。

 海外には、牛100%のハンバーグや、ミラノ風ドリアの味の決め手となる牛乳を使ったホワイトソースのために、牛肉・牛乳の大国オーストラリアのメルボルン州に工場を持ち、低価格を実現している。

 サイゼリヤが目指すのは栽培・収穫から生産加工、調理まで一貫して行う製造直販業。アパレルではユニクロが、製造直販で大きな成功を収めた。もうけを生み出す立地の創造、商品の開発にこのまま持続的に取り組めば、外食界のユニクロのような独特な地位を保ち続けられるはずだ。また、7月6日に日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)に大枠合意したことで、欧州産のチーズやワインをより安く輸入できるようになり、追い風となっている。さらなる躍進が期待できるだろう。


(長浜淳之介)