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韓国「脱原発」に課題山積み 巨額の整備費や電気料金上昇

7/12(水) 8:15配信

SankeiBiz

 韓国は、文在寅(ムンジェイン)大統領が打ち出した「脱原発」の方針を評価する声が上がる一方で、課題も指摘されている。国立シンクタンクの韓国エネルギー経済研究所(KEEI)は、文大統領の方針通り2030年までに再生可能エネルギーの電源構成比率を20%とした場合、170兆ウォン(約16兆8640億円)のコストを要すると試算した。現地紙コリア・ヘラルドなどが報じた。

 KEEIによると、16年の電源構成比率は石炭が39.6%、原子力が30%、液化天然ガス(LNG)が22.4%、再生可能エネが4.8%、その他が3.3%だった。文大統領は、30年に石炭を23.7%、原子力を17.8%に縮小する一方、LNGを38.4%、再生可能エネを20%に拡大するとした。

 これに対し、KEEIの研究者は、水力や太陽エネルギーなど再生可能エネの実際の発電量は発電能力の2割程度だとし、「目標の発電量を実現するにはその5倍の発電能力を備えなければならない」と指摘した。これを踏まえて再生可能エネの比率を20%に引き上げるには、施設や電力網の整備に170兆ウォンが必要になるとしている。

 さらに、電気料金の問題もある。同国の産業通商資源省のデータによると、11年の福島第1原発事故を受けて原発の比率が10年の26%から15年に0.3%まで下がった日本は、この間に電気料金が家庭用で19%、産業用で29%上昇した。

 やはり11年に原発政策を転換したドイツも、同期間の原発の比率が22%から14%に低下した結果、電気料金が家庭用で20%、産業用で25%上昇した。これらの例からみても、韓国でも脱原発推進が電気料金上昇につながる可能性が高い。

 KEEIは、文大統領が提唱する電源構成比率が実現した場合、発電コストが16年比で21%上昇し、物価高が進んで結果的に国内総生産(GDP)が0.93%押し下げられることになると予想している。

 韓国は政府の補助金政策により安価な電気料金を提供してきたこともあり、料金値上げは競争力の低下や消費者の不満につながる恐れもある。専門家は「政府は新しい電力政策を実施するならば、事前に中長期的な料金の見通しを示さなくてはならない」と指摘した。

 文政権は、年内にも新たな長期電力政策を発表するとしている。環境に配慮する大統領の方針を支持する意見も多く、韓国では今後、電力政策をめぐる議論が活発化していきそうだ。(ソウル支局)

最終更新:7/12(水) 8:15
SankeiBiz