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稀勢の里、我慢の初星 初顔20歳、貴景勝の突き押し耐えた

7/11(火) 6:29配信

デイリースポーツ

 「大相撲名古屋場所・2日目」(10日、愛知県体育館)

 左上腕部などの故障から復活を期す横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が貴景勝(貴乃花)を必死の突き落としで下し、初白星を挙げた。20歳若武者の気迫の突きに押されたが、しのいで横綱の意地がさく裂。連敗なら休場ピンチだったが、踏みとどまった。幕内698勝は旭天鵬を抜き歴代単独8位となった。新大関高安(27)=田子ノ浦=も勢(伊勢ノ海)を寄り切り、大関1勝を挙げた。

 稀勢の里がガムシャラに1勝をつかんだ。突き押し1本を武器に番付を上がって来た貴景勝。初顔合わせの20歳の挑戦を真っ向から受けて立った。

 当たって押して愚直なまでに相手は突っ込んできた。「気迫を感じた」と押し合いに応戦。患部の左胸もお構いなしにゴンゴンぶつけた。強烈なのど輪で押し返しても止まらない。最後は右から豪快に土俵にたたきつけるように突き落とした。

 一瞬、浮き上がるなどヒヤリとはしたが格が違った。幕内下位までは突きを磨きスピード出世したのが稀勢の里。相手の土俵に上がり、しのいで勝ったのは横綱のプライドだ。

 31歳初勝利。支度部屋では一切、表情を緩めなかった。「ああいう展開でもしっかりやれた。動き?いいんじゃないですか」と淡々。20歳に負けられないか、など5つの質問には「集中して」「集中していった」「またあした集中して」「しっかり集中」「集中してやる」と「集中」5連発。いつもの“稀勢節”も戻ってきた。

 夏場所後、「名古屋場所を全休して治す」ことを勧める声もあった。「休んで良くなるなら休む。最善のことをする」と反発の心もあった。アスリートたるもの、故障は付きもの。それと付き合いながら勝っていくのが一流であり横綱だ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「よく辛抱した。慌てず常に押し込んでいた。攻防があったから、最後に突き落としが決まった」と評価。左でおっつけ、左四つに組む万全の形には持ち込めていないが「受けているから、ある意味で横綱相撲だ。絶好調でなくても一つ勝つと落ち着く。これからだよ」と巻き返しを期待した。

 連敗なら休場ピンチに陥る崖っぷちで生き残った。帰り際に左腕に力を込め、上下動させる表情からは決して不安を脱したようには見えない。復活ロードは険しいが、前進あるのみだ。