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母が語る「池江璃花子の育て方」毎日、楽しく、ほめて、間違えさせて

7/11(火) 11:02配信

スポーツ報知

 競泳のリオデジャネイロ五輪女子100メートルバタフライ5位で、リレーを含む5種目(長水路)で日本記録を保持する池江璃花子(16)=ルネサンス亀戸=が2度目の世界選手権(23日開幕、ハンガリー・ブダペスト)に挑む。東京五輪でメダル取りを目指すスーパー女子高生スイマーを産んだ母・美由紀さんに、子育て論を聞いた。(高木 恵)

 美由紀さんは「毎日」と「楽しく」を子育てのキーワードに挙げる。「子供は天才と呼ばれる素質を持って生まれてきている。それを引き出すのが親。すぐに成果を求めると義務や押しつけになってしまう。毎日を楽しく学べる環境を作ってあげること」。自宅に遊具を置くことを提案する。

 例えば鉄棒、雲梯(うんてい)、登り棒―。「毎日触れられることが大事。毎日毎日やることで脳の領域が強化される。1日10分、15分でいい」。自宅に用意することで、天候に左右されずに日々続けることが可能になり、遊びながら成長できる。

 世間の印象は「池江家=雲梯」。雲梯が発育に良いと書かれていた本を読んだことがきっかけだった。握ることで脳に刺激が与えられる。璃花子は生後半年で美由紀さんの指につかまりぶら下がった。おむつ替えの時も指につかまらせて起こした。璃花子が小学5年の時に自宅に雲梯を設置。1個抜かし、両手飛び、後ろ向き。自分で考えて遊びのバリエーションを増やしていった。

 生まれてくる子にとって負担が少ないようにと、自宅の風呂で水中分娩(べん)で出産した。まさに水の申し子として、璃花子はこの世に生を受けたことになる。3歳でスイミングを始めた時も、全く水を怖がらなかった。4歳で25メートルを全泳法で泳げた。5歳になると全泳法で50メートル。6歳で個人メドレーを泳げるまでになった。「得意なことは褒めて伸ばしてあげる。遊び心でできるように。褒められると子供はうれしいからどんどん上達していく」。子供は親が得意なことを受け継いでいることが多い。美由紀さんも水泳をやっていたため、環境は作りやすかった。

 離婚し、女手一つで3人の子供を育てあげた。大事にしてきたことは「自分のことは自分でできるように」。小学生の時から持ち物は自分で用意させた。ランドセルを忘れて登校したこと数回。「間違えたら大変だ」ではなく「間違えて覚えたらいい」。失敗から学ぶことは多い。早くから日本代表入りした璃花子だったが、遠征の準備を手伝ったことは一度もない。パスポートの管理も、ドーピング検査の居場所登録も最初から一任した。「親は子供が苦しんでいる姿を見たくはない。だから失敗を恐れて先回りをしてしまう。でもチャレンジして失敗することで成長できる」。このスタンスは昔から変わらない。

 中学生になる頃にはニンジン作戦で能力を開花させた。自分で努力して何かを手に入れることの素晴らしさを教え込むためだ。代表合宿に参加できるインターナショナル標準記録のごほうびはスマートフォンだった。日本記録は1回更新につきLINEのスタンプ1個。それも100円はNG。50円のスタンプ限定だ。「私の日本記録、安くない?」。最近になり本人も疑問を抱き始めたとか。

 世界選手権で璃花子は、50メートル、100メートルの自由形とバタフライの個人4種目とリレー2種目、計6種目に出場予定。メンバーがまだ決まっていない混合のフリーとメドレーリレーに出場すれば日本選手団史上最多の8種目出場となる。15年大会では14年ぶりに中学生代表として泳いだ。リオ五輪を経て迎える2度目の世界選手権へ、現在は国内で調整を進めている。

 美由紀さんは「まだ始まったばかりだから。世界の舞台で戦い始めたばかり。やっとスタート地点に立てたといったところ。日々勉強です。勝っても負けてもここがゴールじゃないから」と、大きな心で見守っている。ブダペストへ向かい、観客席から声援を送る。

最終更新:7/11(火) 11:43
スポーツ報知