ここから本文です

<九州豪雨>発生1週間 短時間で濁流 14人不明の地区も

7/11(火) 21:45配信

毎日新聞

 九州北部豪雨は12日で発生から1週間となるが福岡県朝倉市の松末地区では、なお14人が安否不明のままだ。地区の一部はまだ立ち入りが困難で被害の全容は明らかになっていない。現場を歩き避難者の証言からたどると、2012年の九州北部豪雨をはるかに上回る濁流が短時間で集落をのみ込んだ状況が浮かび上がる。

【写真特集】九州豪雨発生1週間

 一時孤立した約50人が避難した朝倉市立松末小学校そばを流れる乙石川を、ロープを頼りに渡り11日午後、松末地区に入った。大量の土砂や流木があふれ、どこが道で、どこに川が流れていたのかもわからない。あちこちで山肌が削られて、家屋が押しつぶされている。えぐられるように損壊した家屋や、土砂に半分埋まった車両もあり、津波が襲った跡のようだ。

 「水の勢いは5年前の九州北部豪雨の数倍。考える暇がないほどあっという間に川があふれた」。同地区の真竹集落に住む会社員、佐野健一さん(48)は振り返る。福岡県内は5日昼ごろから猛烈な雨になったとされるが、午後2時半すぎには、佐野さん宅前の道路と川の高さがすでに同じだった。自宅近くにいた警察官の勧めで、すぐに車で避難し難を逃れた。後で自宅周辺にいた車が流されたと聞き、間一髪だったことを知った。避難先で見た写真には大きな丸太が突き刺さった自宅が写っていた。

 同地区の本村集落で農業を営む岩下幸夫さん(68)は高台に避難したが周辺道路が寸断され約15人の住民と孤立した。同日午後3時ごろには近くの川が氾濫。「自宅近くには四方八方から川のように水が流れこみ、花火のような雷が鳴っていた」。6日には孤立した住民で救助チームが作られ、ロープやはしごを手に、けがなどで避難できずにいた高台近くの住民2人を救出。7日にヘリで救助された。

 松末地区では11日も警察や自衛隊による懸命の捜索活動が続いた。立集落で行方不明の矢野正子さん(90)と5日も老人クラブで午後3時まで一緒だった近所の女性(82)は「元気が良くてみんなに好かれていた。もう1週間。さみしさばかりが募る」と早期の発見を願った。【宗岡敬介、高嶋将之、佐野格】

最終更新:7/12(水) 1:38
毎日新聞