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<首相>1週間の外遊、成果乏しく 政権浮揚の期待不発

7/11(火) 22:05配信

毎日新聞

 安倍晋三首相は11日、ドイツでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議出席をはじめとする1週間の欧州訪問を終えて帰国した。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の大枠合意などの成果もあったが、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて行った各国首脳への圧力強化の呼びかけでは、立場の食い違いが際立った。周辺国を巡る「安倍外交」の足踏みが続いている。【朝日弘行】

 首相の日本出発前日の4日に北朝鮮がICBMを発射し、政権内では当初、圧力強化を掲げる首相にとって訪欧が「最高の舞台になる」(政府筋)との期待感があった。

 しかし、6日の日米韓首脳会談は圧力強化では一致したものの、共同声明には融和的な文章も盛り込まれた。韓国の文在寅大統領の対話路線に配慮し「北朝鮮が正しい方針を取れば明るい未来を提供する用意がある」などと記された。文氏は7日の首相との個別会談でも「南北対話の復元が必要」と指摘。首相の姿勢との違いが浮き彫りとなった。同行筋は「北朝鮮に『圧力と言ってもこの程度か』と思われかねない」と懸念を示す。

 中国、ロシアにも圧力強化に距離を置かれた。中国の習近平国家主席は8日の首脳会談で「独自制裁には反対だ」と明言。ロシアのプーチン大統領も「日本の懸念は理解している」と言葉を濁した。

 一方、日中関係に関し、首相は習氏と相互に主張を伝え合いつつ、「首脳間の対話強化」を確認。関係改善の兆しを示した。ただ、首相が首脳の相互訪問を提案した際、習氏は黙って聴き入ったまま明確な返答は避けた。

 顕著な成果は日欧EPAの大枠合意だ。首相はその後の記者会見で合意が自由貿易の弾みとなると位置付け、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への米国復帰をにらみ、「TPP11と米国との橋渡し役を担いたい」と意気込んだ。

 だがその米国のトランプ大統領は8日の首相との会談で、対日貿易赤字と日本市場への参入障壁について言及。首脳間の個人的関係の比重が大きい現在の日米連携に微妙な影を落とした。東京都議選惨敗で求心力が低下する中、外交による政権浮揚への期待が政権内にあったが、不発気味の欧州歴訪となった。

最終更新:7/11(火) 23:59
毎日新聞