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因縁の星稜と小松大谷、奇跡の超大逆転劇からの3年後

7/11(火) 16:02配信

スポーツ報知

 高校球史に残る世紀の大逆転劇を演じた星稜と小松大谷。「名勝負の夏」がまた、やって来る。第99回全国高校野球選手権石川大会は14日に開幕。果たして4年連続の因縁対決はあるのか。今年は準決勝で実現する可能性がある。

【写真】星稜の9回8点差逆転サヨナラ勝ちを報じる2014年7月28日付けスポーツ報知北陸版一面

 決して色あせない激闘史だ。14年決勝は星稜が9回、打者13人で8点差を大逆転。これだけでは終わらず、15年準々決勝、今度は小松大谷が逆転サヨナラ返し。そして、16年準決勝は星稜が制して甲子園への道を切り開いた。

 選手は移り変わっても、熱気は不滅だ。今夏の組み合わせが決まると、小松大谷・冨田恒毅主将(3年)は「僕らはいい意味で大逆転負けを知らない世代。臆することなく甲子園まで突き進む」と決意を表明。一方、当時中学3年だった星稜・川岸正興主将(3年)は石川県立野球場でミラクル決勝を目撃しており「相手がどこでも一戦必勝。意義ある夏にする」と燃えた。

 因縁と知られるようになった3年前、8回を終えて小松大谷が8点のリード。準決勝までならコールド決着だった。9回、右腕・岩下大輝(現ロッテ)が再登板して3連続奪三振。その裏、林和成監督がベンチ前で「打者一巡しようじゃないか」とナインの背中を押したのは語り草。送り出された先頭の代打・村中健哉主将が四球を選ぶと、笑みを携えながら一塁へと走った。今では有名になったチームスローガン「必笑」。奇跡の始まりだった。数々の激闘を知る山下智茂名誉監督ですら「記憶にない勝ち方」と驚いた。

 今も当時のスポーツ報知紙面が両校ナインを見つめる。毎日の練習前、ベンチに置かれる「泣くな、小松大谷」、バックネット裏で存在感を示す一面「奇跡の超大逆転!星稜」

 準優勝紙面をいつまでベンチに置くのか。小松大谷・西野貴裕監督は「あの時、選手に甲子園への思いをかなえてやれなかった。後輩たちの手で目標をかなえれば(紙面を)そっとしまうかもしれませんね」と言った。

 夢の続きもそれぞれだ。星稜の右腕・岩下はロッテ、小松大谷の左腕・山下亜文はソフトバンク育成で己を磨く。新たな道を歩み出した人もいる。星稜の横山翔大捕手は教員を目指して国士舘大に進み、男子ソフトボール部で活躍中だ。「関東に出てきて自分たちのやったことのスゴさに気がついた。対戦相手が僕のことをみんな知っている。指導者として自分の経験を子供たちに伝えられれば」

 球場外に残したものも計り知れない。星稜・林監督に聞いたことがある。大逆転劇がもたらした功績は?

 「あの決勝を見た野球少年は、劣勢でも最後まで諦めちゃいけないと思ったでしょう。逆に、どんなに大量点を奪おうが絶対に油断してはいけないとも思ったでしょう。その意味で大きな試合だったな、と思います」

 高校野球を通して得られる教訓は多い。今年も、脈々と受け継がれる名勝負を期待せずにはいられない。(記者コラム・小沼春彦)

最終更新:7/12(水) 7:02
スポーツ報知