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非正規雇用増加の米国、実体経済と雇用統計がかみ合わない理由か

7/11(火) 21:35配信

投信1

6月の米雇用統計では労働市場の堅調さが改めて確認されました。ただし、これまで同様、雇用統計の数字はよいのですが、なぜか実体経済は低迷したままで、賃金も物価も伸びていません。

雇用統計と実体経済の動きがかみ合わず、謎は深まるばかりです。そこで今回は、この謎を解くヒントを整理してみました。

6月米雇用統計、堅調を確認も健全性に問題あり

6月の米雇用統計では雇用者数が22.2万人増と予想(17.8万人増)を大きく上回り、堅調を維持していることが確認されました。また、失業率は4.4%と前月の4.3%から0.1%ポイント上昇しましたが、労働参加率が上昇していることから内容的には悪くありません。

一方、賃金の伸びは引き続き弱く、雇用者数の堅調な伸びと賃金の低調な伸びが定着しています。なぜこのような状況が続いているのか、そのヒントとして求人労働移動調査(JOLTS)が注目されています。

JOLTSによると、4月は求人率が過去最高となった一方で、採用率が低下しました。求人を出しても採用はしておらず、企業は求める人材を確保できない、“雇用のミスマッチ”が浮き彫りになっています。

また、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとするFRB関係者が注目している自発的離職率も低下しています。自発的離職率は労働市場の“健全性”のバロメーターとされています。

通常、雇用が拡大すると自発的な離職者も増加する傾向にあります。低下しているのは雇用される側にとって魅力的な職場が見つからないからとも考えることができそうです。

実際、求人が増えているのはホテルや飲食店などのサービス業であり、製造業では求人が減っています。企業が求めているのは福利厚生などを伴わない非正規雇用(フリーランサー)であり、待遇を改善してまで雇用を増やそうとはしていない恐れがあります。

労働市場の流動性の目安として採用率と離職率を合計してみると、4月は6.9%と3月の7.2%から低下しています。金融危機以前の8.0%近辺と比べると1.0%ポイント程度低下しています。

雇用統計での雇用者数の増加や失業率は申し分ない数字ですが、流動性に欠けており、人の動きはかなり鈍いと言えそうです。

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最終更新:7/11(火) 22:35
投信1