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江戸小紋師の藍田正雄さん死去 群馬の絹文化をけん引 77歳

7/11(火) 6:03配信

上毛新聞

 江戸小紋師の藍田正雄(あいだ・まさお)氏が9日午後10時45分、肝不全のため、群馬県高崎市足門町の自宅で死去した。77歳。通夜は13日午後6時から、告別式は14日午前11時からともに同市寺尾町1064-57の市斎場で行われる。喪主は長女の林みつよさん。群馬県の絹文化をけん引し、後継者の育成に力を注いだ藍田氏の訃報に関係者は悲しみ、故人をしのんだ。

◎群馬県指定重要無形文化財保持者 訃報に関係者悲しみ

 藍田氏は1940年、茨城県生まれ。77年に旧群馬町に工房を構えた。日本伝統工芸染織展で文化庁長官賞など受賞多数。99年、県指定重要無形文化財保持者に認定された。日本工芸会正会員。

 伝統を受け継ぎながら、木目のようなモアレ(うねり)を表現した「板引き杢(もく)」など独自技法を開発した。一貫して群馬の絹を使い、海外での実演や講演で県産シルクをアピールし、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録を後押しした。

 13年3月には米ニューヨークの国立デザイン博物館で同館所蔵の「伊勢型紙」の復刻版を使った染色を実演。伊勢型紙を復刻した突き彫師、内田勲さん(72)=三重県鈴鹿市=は「彫師は染めた作品まで見る機会は少ないが、藍田さんは彫師を大事にして染めた生地を見せてくれた」と振り返り、「人間国宝になってほしかった」と惜しんだ。

 県立日本絹の里館長の茂原璋男さん(73)は「群馬の絹文化の第一人者として活躍し、世界に日本の絹織物の美しさを発信してくれた。惜しい人が亡くなってしまった」と残念がった。石仏彫刻家で1996年に藍田氏らと県作家協会を設立した倉田辰彦さん(65)=高崎市吉井町=は「いろんな人と交流し、他の作家に惜しみなく紹介してくれた。群馬県作家の活性化に欠かせない人材を失い、本当に残念」と肩を落とした。

 後継者の育成に熱心で、昨年8月には教え子4人が日本伝統工芸展で入選した。29年前に最初の弟子となった田中正子さん(65)=同市鼻高町=は「入賞すると自分のこと以上に喜んでくれた」と振り返った。

 田中さんによると、藍田氏は今年1月にがんを患っていることを知った。「抗がん剤治療をすれば、80歳まで頑張れるだろう」と意欲を見せていたが、最期は希望していた自宅で家族や弟子に見守られて息を引き取ったという。藍田氏の工房を引き継ぐ藍田愛郎さん(39)=同市足門町=は「人のつながりを大事に、来る者は拒まなかった親方の姿勢を受け継いでいきたい」と語った。

最終更新:7/11(火) 6:03
上毛新聞