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天国から級友に差し入れ がん闘病16歳 母が「思い出のポテチ」贈る 北海道幕別町

7/11(火) 17:47配信

十勝毎日新聞 電子版

 8、9の両日に開かれた幕別町の江陵高校の学校祭で、天国から生徒たちに差し入れが届いた。1年生の高砂彩乃さん(享年16)は発症から2年10カ月間、がんと闘い、最期まで希望を持ち続けて学校生活を送り、3月16日に亡くなった。差し入れは昨年の学校祭で仲間と食べ、「おいしかった」と話したポテトチップス。母好江さん(40)が高砂さんが残した小遣いを使い仲間たちに贈った。

 高砂さんは幕別町生まれ、札内南小、札内中卒。中学2年時、骨のがん「骨肉腫」を発症した。初めは腰が痛み、成長痛と思っていたが、診察で分かった。骨盤の半分ほどを削る大手術に耐えたが、3年時に肺に転移、抗がん剤などの治療を続けてきた。

 手術後は松葉づえでの生活となり、2歳上の姉菜摘さん(18)に憧れてプレーしていたバレーボールを断念。高校生活を送ることも不安視される状態だったが、姉が通っていた江陵高校に進学を決めた。

 治療や検査で休む日はあったものの通学を続け、高校もサポート、クラスに友達もできた。好江さんは「学校に行きたくないと言うことはなかった。楽しかったのでは」と話す。担任だった黒坂博史教諭も「皆に迷惑をかけないよう頑張っていた」と振り返る。

 昨年夏は、古谷優人投手(現プロ野球選手)の活躍に湧いた高校野球の全校応援にも参加。姉の応援で函館の全道高体連のバレーボール大会にも駆け付けた。

 しかし、16歳の誕生日を迎えた翌日の昨年9月20日、教室で突然倒れ、検査の結果、脳への転移が判明。病状は入退院を繰り返す厳しい状態となったが、札幌の病院に入院中の同11月に、友人の木村桃香さん(17)=現江陵高2年=と好きなアーティストのライブに行った。

 亡くなる10日前、好江さんの誕生日の3月6日、母に手紙を書き、これまで育ててくれた感謝とともに、「これからも頑張っていこうね」と記した。病状が悪化しても母に当たったり、責めたりすることはなかったという。

 高砂さんが亡くなって迎えた今年の学校祭。昨年の学校祭の準備中、高砂さんは「先生からもらって、みんなで食べたポテトチップスがおいしかった」と話していたことを思い、好江さんは全クラス分13箱を学校に贈った。

 「明るくてとても話しやすかった。亡くなった実感が湧かない」と一緒にライブに行った木村さん。今でも「あすになったらいるのでは」と思う。高砂さんの納骨は三回忌となる、迎えるはずだった卒業式後に行われる予定。黒坂教諭は「卒業式で名前を呼びたい」と考えている。

 好江さんはクラスメートたちに娘の思いを託す。「高校生活を楽しんでほしい。つらいことがあっても諦めずに進んで」(眞尾敦)

十勝毎日新聞