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【千葉魂】先輩田村と挑む夢の舞台 オールスター初出場の二木

7/11(火) 10:21配信

千葉日報オンライン

 よく食事に連れていってもらった。プロ入りしたばかりの二木康太投手は今も鮮明に覚えている。鹿児島から1人、ロッテ浦和寮に入寮をして右も左も分からず戸惑っていた時、一番最初に声を掛けてくれたのが1歳年上の田村龍弘捕手だった。甲子園は遠い世界だった二木にとってその舞台で大活躍をしていた田村はスターのような存在。テレビの向こうの選手といろいろ話が出来たのがうれしかった。

 「いつも食事に連れていってもらいました。いろいろなアドバイスをもらいました。一番、言われたのはもっと貪欲になれ。もっと欲を出せということですかね。ボクはすぐに満足することがあった。そういう点を指摘された。それではプロの世界では生きていけないぞと。しっかりと目標を決めて、それを達成したら次の目標へと成長をしないとダメだぞと言われました」

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 休みの日はよく寮の近くで食事をして奢ってもらった。プロの世界ではまだ実績のカケラもなかった2人はラーメン店やファミリーレストランで飽きることなく夢を語り合った。未来を話し合い、野球の話に没頭した。あれから月日は流れた。そして2人の若者は大きく成長をした。ついに共に監督推薦でオールスターに出場をすることになった。田村は2回目。二木は初出場だ。うれしそうに会見で抱負を語り合った。

 「オールスターにはたくさんのスターピッチャーが出場をします。でも僕が一番、ボールを受けたい投手は二木です。二軍時代からずっと一緒にやってきた。その投手のボールをオールスターという舞台で受けたい」

 田村はそう話すと横にいる後輩と目を合わせて2人でクスクスと笑いあった。二木も感慨深い思いに浸っていた。普段は優しい先輩も、こと野球に関しては厳しい。ピッチングで何度も厳しい言葉を投げられた。変化球のサインに首を振ってストレートを投げてホームランを打たれときは厳しく指摘された。ただ、厳しさの中で優しさもあった。昨年、試合序盤に大量失点をしてノックアウトされたゲーム後、宿舎のホテルで閉じこもっていると心配をして訪ねてきてくれた。「誰もが一度は経験をすることだから。ノックアウトされたことのないピッチャーなんていないぞ」。そう言って励ましてくれた。そして、配球のいろいろな反省を一緒にした。そんな先輩と2人で臨む夢の舞台。まさに夢のように感じる。

 「信じられないです。自分があの舞台に立てるなんて。うれしい。オールスターには同じ年の選手もたくさんいるけど、ボクにとってはみんな雲の上の存在だった。自分と同じ年には思えなかった。まさか。本当にまさかという気持ちです」

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 松井裕樹投手(イーグルス)、田口麗斗投手(ジャイアンツ)、山岡泰輔投手(バファローズ)など。甲子園に出場をしたことのない二木にとって、同じ年の選手たちは遠い世界の選手たちだった。ドラフト6位で無名に近い選手だった若者にとって彼らは輝いて見えた。それがどうだ。今、その舞台に共に立つ日が来た。入団時、73キロだった体重は85キロまで大きくなった。130キロしか出なかったストレートも140キロ後半を計測するようになった。寮近くのラーメン店で夢を語り合った先輩と2人で挑むオールスターゲーム。シンデレラストーリーはどこまでも、果てしなく続く。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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