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<東松山少年事件>裁判員ら胸中「周りに助けられる大人いなかった」

7/11(火) 23:09配信

埼玉新聞

 埼玉県東松山市下唐子の都幾川河川敷で昨年8月、吉見町中曽根のアルバイト井上翼さん=当時(16)=の遺体が見つかった事件で、傷害致死の罪に問われた無職少年(18)の裁判員裁判の判決公判が11日、さいたま地裁で開かれた。栗原正史裁判長は「他人の生命を奪った事案の重大性」を考慮し、少年に懲役6年以上9年以下(求刑・同6年以上10年以下)の不定期刑を言い渡した。

 「周りに助けられる大人がいなかった」「少年が誰かと出会っていれば…」。裁判に参加した裁判員の男女3人が11日、さいたま地裁で記者会見に応じ、事件と向き合った胸中を語った。

 少年と同年代の息子がいるという50代女性は「まだまだ幼く、凶悪な事件を起こすようには映らなかった」と率直な印象を述べた。

 井上さんが少年らの遊びを断ったというささいな理由で、集団暴行に発展した今回の事件。20代の男性裁判員は「遊びの延長線上という印象で、少年だからこそ起こり得た事件。目に見えないだけで、同じことが起こる危険性があふれているのではないか」と話した。

 公判で明らかになったのは、複雑な家庭環境で育った少年の成育歴だった。弁護側によると、幼少期には父親が母親に暴力を振るう姿を目の当たりにした。家族に安心を求められず、自分を受け入れてくれる仲間と行動を共にするようになったという。

 50代女性裁判員は「周りに少年を助けられる大人がいなかった。誰かと出会っていれば良かった」と語る一方、「同じような環境の子どもがみんな罪を犯すわけではない」と指摘。類似の事件を防ぐために、学校や児童相談所などの関係機関が子どもを見守る体制を整える必要性を投げ掛けた。20代の男性裁判員も「不良仲間しかいなければ、何が間違っているかなんて分からない。周囲の大人がちゃんと教えてあげるべきだった」。

 6月29日に行われた被告人質問で、裁判員から「目標の大人はいるか」と問われた際、非行少年を更生に導く「夜回り先生のようになりたい」「本気で自分が変わらないといけない」と話していた少年。

 裁判員の女性は「服役したら、いつか社会で生きていかないといけない人。暴力とは無縁の人になってほしい」。別の50代女性も「服役後は家庭環境がどうこうではなく、1人の大人として自立しなくてはいけない。しっかり更生して帰ってきてほしい」と悩み抜いた末に出した判決への思いを語った。

最終更新:7/12(水) 1:17
埼玉新聞