ここから本文です

ISからモスル奪還、知っておきたい5つのこと

7/11(火) 8:52配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 イラクのハイダル・アバディ首相が、過激派組織「イスラム国(IS)」からのモスル奪還を宣言した。スンニ派が多く住むモスルでは、政府軍とISの間で激しい戦闘が続いていた。以下にISとモスルをめぐる5つのポイントをまとめた。

ISにとってイラク最大の拠点

 ISからのモスル奪還は、イラク政府軍や民兵組織、イラクやシリアでISと戦い続ける米国主導の有志連合にとって最大の勝利だ。イラク第2の都市モスルはISにとって経済活動の中心地かつ支配の象徴だった。調査会社IHSマークイットによれば、ISは2015年1月から2017年6月までに、イラクとシリアで支配していた地域のうち約5万4000平方キロメートルを失っている。

イラク国内でも依然脅威

 3年以上前から支配していたモスルを失ったのはISにとって大きな痛手だが、イラク国内で壊滅した訳ではない。多くの戦闘員を失ったものの、残ったメンバーや支持者らは他の場所へと分散していった。IHSマークイットによれば、先月末時点でISはイラクとシリアで約3万6000平方キロメートルを支配下に置いている。これはベルギーの国土と同程度の広さだ。

米国とイランにも大きな政治的勝利

 ISからのモスル奪還は米国にとって、自分たちの戦略の正当性を示すものだ。米国はイラク軍部隊への訓練提供、上空援護、物資や情報の支援を実施する一方で、地上軍の展開を可能な限り避けた。一方でイランにとっては、自国およびイラクのシーア派武装勢力が、イランとレバノンを結ぶ補給ルートの確保に一歩近づいたことを意味する。

対IS作戦、前線はモスルの西へ

 イラク政府軍にとって次の目標はタルアファルの奪還だ。タルアファルの人口はモスルの3分の1程度だったが、宗派対立激化のリスクはより大きい。政府とつながるシーア派民兵組織はすでに同地を包囲し、戦闘の主導権を取りたい考えだ。だがISはタルアファルでシーア派を大量に殺害したとされており、それに対する報復が行われる可能性が高い。米国が支援する政府軍は、シーア派民兵組織ではなく自らが先頭に立つべきだと主張している。

モスルの再建には数年必要

 解放されたモスル市内に仕掛けられた爆弾や不発弾を処理することは、途方もない作業になる。これが完了しなければ住民は家に帰れず、人道支援グループも活動できない。また、モスルでの戦いが完全に終結してからでなければ、被害の全容や再建にかかるコストの見通しは立たない。

By Asa Fitch