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潜水職員不明「安全管理に問題」 沖縄労基署、沖縄科学技術大学院大に勧告

7/11(火) 16:35配信

沖縄タイムス

 昨年11月に沖縄科学技術大学院大学(OIST、ピーター・グルース学長)の男性職員(当時37歳)が本部町と伊江島間の海底で計測機器設置の潜水作業中に行方不明になった件で、潜水作業の安全管理に問題があり、今年3月に沖縄労働基準監督署から是正勧告を受けたことが10日までに分かった。ニール・コルダー副学長(広報担当)が同日、本紙の取材に答えた。

 男性職員は昨年11月14日、同海域水深約60メートルの海底で流向流速計を設置中に行方不明になった。一緒に作業していたダイバーは先に浮上したが、男性職員は上がってこなかった。名護海上保安署などが捜索したが、見つからなかった。

 OISTは男性職員に潜水前の健康診断を受けさせていなかった。2人1組で行動する「バディシステム」の徹底にも不備があったという。現在、水中の作業は休止している。

 OISTは昨年12月、外部の有識者6人で構成する潜水事故対策検討委員会を設置。今年5月中旬にグルース学長に報告書を提出した。報告書では(1)詳細なダイビング計画がなかった(2)ダイビング機材が作業に不適(3)機材使用のトレーニングが不足(4)緊急時の計画や予備機材もなく、監視員やバックアップダイバーもいなかった-など安全管理の問題点を指摘した。

 また、検討委は大学全体で「労働安全衛生の重要性が過小評価されてきた」とも言及。今回の件では担当セクションのスタッフの不足や体調不良、この男性職員へのハラスメントの苦情といった問題を抱えていたにもかかわらず「管理職員が適切に対応していなかった」と判断した。

 コルダー副学長は「安全と健康が最優先という文化が欠けていた」とした上で「今回の痛ましい事故を受け、研究、安全の面で大きく変わっていくため、初めの一歩になると思う」と強調。安全管理を含め屋外での活動計画を検討する委員会を新設したと述べた。 

 一方、コルダー副学長は名護海上保安署から詳細な聴き取りがあったと説明。結果として「検察への書類送検など、職員が刑事訴追されないことが6月末に分かった」と語った。

 男性職員の家族からは「OIST職員の刑事訴追は望んでいないと聞いている」とした上で、行方不明という問題の重大性から、労災での対応以外に「和解についても協議中」と答えた。(政経部・伊集竜太郎、北部報道部・西江千尋)

最終更新:7/11(火) 16:35
沖縄タイムス