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“死”を意識しながら演じる大俳優たちの凄み… 倉本聰脚本「やすらぎの郷」

7/12(水) 16:56配信

夕刊フジ

 【TV視てますか?】

 あっという間に7月。倉本聰脚本のテレ朝帯ドラ『やすらぎの郷(さと)』も折り返し点を過ぎた。3日はちょうど後半(第14週~)の初日。前週までのあれやこれやが一段落して、老人ホームから見下ろす静かな入り江がセピア色に変わってきた。

 この美しい晩夏の風景をこれから何度見られるか…主演の石坂浩二の語りが心に染みる。オープニングに毎回映る彼のアップ写真の、特に眼光が倉本氏にそっくりだ。

 季節の転換をドラマ進行に重ね、視聴者をさらにグイと引きずり込んでいく倉本氏の手法(『北の国から』が代表例)が相変わらずさえている。

 本作をめぐり、この3カ月、虚実とりまぜて、いろんなことがあった。最たるは主要な登場人物の一人である野際陽子本人の死去。ジョギングしたり、夏の入り江でわざと水着なしで泳ぎ、山本圭、ミッキー・カーチス、石坂の磯釣りトリオを困らせたりと、元気そのものだったのに…。

 しかも、訃報が伝わった日は、冨士眞奈美ふんする忘れられた元女優が投身自殺したことを事情通の“マロ”ことミッキー・カーチスがベタ記事で知るという回。「死」が突然やってきた。

 40年以上も前になるが『6羽のかもめ』で加東大介、『前略おふくろ様』で田中絹代と、長いキャリアの大俳優が倉本ドラマを遺作として旅立っていった。そのことをホームの“入居者”にふんする今回の大俳優たちは皆、心の片隅に置いているに違いないと思わせるところが、この帯ドラのすごさではなかろうか。

 4日は石坂浩二と“お嬢”こと浅丘ルリ子が2人芝居。私生活の元夫婦が2人きりで演じた場面はこの回が初めて? それもあってか、同じく元カノの加賀まりこはご機嫌斜め風? そのへんをミッキー・カーチスが突っ込み、“姫”こと八千草薫がトンチンカンなことを言ったりと、ホントにホントに面白い。(新橋のネクタイ巻き)

最終更新:7/12(水) 16:56
夕刊フジ