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書くことに集中できる米国製スマートタイプライター「FREEWRITE」を衝動買い!

7/12(水) 12:00配信

アスキー

今回衝動買いしたものは、「FREEWRITE」という文書作成専用機。テキスト保存のためのクラウド連携はできるが、それ以外はテキストを打つことしかできない、迷いのない仕様が特徴だ

 昔からICT業界には、国を超えてこだわりのある商品企画者やエンジニアがいるものだ。
 
 その中でも今回、筆者が購入した米国製の「FREEWRITE」(フリーライト)と呼ばれる、ただ文書だけを入力するライティングツールはそのこだわりにおいて、今のところ右に並ぶものがないだろう。
 
 国内で文書作成専用機と言えばキングジムの「ポメラ」が有名だが、FREEWRITEの文書入力専用機にかける意気込みはそれをはるかに超えている。
 
 2016年に多くのバッカーを集め無事当初の出荷を終了したFREEWRITEを買いそびれた筆者は、つい先ごろ、知人から入手した次第だ。
 
 日本にも1980年台の後半には、携帯型でただ文書だけを入力するための、エディターに近いシンプルなアプリを搭載した文字入力専用ハードウェアがあった。
 
 筆者が国内外で愛用していたエプソン「ワードバンクノート」などがその代表的な機種だろう。
 
 動作が機敏なこれら文書入力専用機も、パソコン通信からインターネットへの拡大展開に伴い、世の中のトレンドは単なるテキスト表示からグラフィック的な表現に急激に移行した。
 
 そして機能性の高いパソコンが市場を席巻する世界となり、その後、よりコンパクトでモビリティーの高いスマートフォンに移行してきている。
 
 しかし、そんな時代になっても、日本国内だけではなく世界中に文書入力が作業の多くを占めるユーザーは常に一定数は存在している。キングジムのポメラはそういうユーザー層にフォーカスを絞ったミニマル系の現代版ワードバンクノートだろう。
 
 FREEWRITEは、世界の市場に一定数量は必ずいる文書入力派のためのクラシカルでこだわりのハードウェアとして、クラウドサービスなど最新の環境を従えてデビューした商品だ。
 
 歴史上日本にはないに等しい、タイプライターを賢くした“クラウド版タイプライター”という表現が当たっている商品だ。
 
やや重いが高級感のあるライティング専用機
「FREEWRITE」
 FREEWRITEを製造しているスタートアップ企業であるASTROHAUS(アストロハウス)は、本製品を発表する際になかなかユニークな商品紹介を行なっている。1つは「Distraction-Free Writing Tool」。もう1つは「ultimate drafting machine」だ。
 
 意味するところは「書くことに集中できる道具」であり「究極の下書き機」。簡単に言ってしまえば、「気を散らすことなく文章の下書きをガンガン書ける道具」ということなのだろう。
 
 早速、知人から送られてきた宅急便のパッケージを受け取った時の印象は「けっこう重い!」だった。
 
 そして、昨今の超軽量級のICT系アイテムは不必要なほど凝ったゴージャスなパッケージに入って送られてくるものが多いが、FREEWRITEは極めてシンプルだ。
 
 箱から取り出したFREEWRITEは予想に反せずやっぱり重い。2kgまで測れるいつものキッチン秤で測定してみると、スペックより少し成長していて実測1.88kgもあった。
 
 アルミニウムボディーの表面はなかなかセクシーなカーブが特徴で、シックなブラックの塗装とマッチして高級感があり、なかなか素晴らしい。
 
 本体の中央にはフロントライト付きの5.5インチのE-INK(電子ペーパー)スクリーンがある。ユーザーが設定するフォントサイズにもよるが、中程度の文字サイズで、日本語で1行に27文字、10行が表示されるサイズ。筆者の個人的感覚ではキングジムの「DM100」的なイメージだ。
 
 ブラックカラー塗装の柔らかいカーブの表面に対して、底面は極めてシンプルでFREEWRITEという大きなロゴだけが目立つ平坦なプラスティック素材でホワイト一色だ。
 
 1.8kgも重量があるからか、クラシカルなタイプライターのイメージからか、背面には持ち歩くためのハンドルが付いている。普段はリトラクタブルで本体に内蔵され、引き出すと極めて安定して持てる。
 
 さまざまなインターフェースケーブルはパソコンの拡張性の証明だが、クラウド時代のスマートタイプライターは、その辺りも極めてシンプルだ。外部から取り込むコード類は本体充電のためのUSB Type-Cケーブルが1本だけ。
 
 ごく一般的な市販のUSB/ACアダプターで充電は可能だ。満充電までの大凡の時間は3時間。まだたったの1回しか充電したことのない筆者には確証は持てないが、公開されているスペックによれば、Wi-Fiをオフにして毎日30分使って約3~4週間くらいがバッテリー持続時間らしい。
 
項目が多め!? 無線LANとクラウド連携のための設定
 クラウド時代のスマートタイプライターと言えども、最新のクラウドサービスと連携するには少し設定が必要だ。
 
 おおよその設定は、(1)自宅やオフィスなどのWi-Fiルーターとの接続設定 、(2)FREEWRITE専用の無料クラウドサービスである「Postbox」のアカウント取得、(3)Dropbox、Google Drive、Evernoteなどとの連携設定、(4)日本語環境などの設定、となる。
 
 こうして並べて書くと結構項目がありそうだが、FREEWRITE専用ウェブサイトのFAQや、FREEWRITE専用クラウドである「Postbox」のCommunity、Supportを参照すれば簡単だ。
 
 パソコンや一部のスマートフォンと同じように、最初に行なうのはFREEWRITEを自宅やオフィスなどのWi-Fiルーターに接続してインターネット環境を確保することだ。
 
 FREEWRITEのE-INKスクリーンの右側にある切り替えスイッチバーのついたところがWi-Fiを操作する部分だ。本体左上の大きな赤いボタンを押して充電済みのFREEWRITEの電源を入れる。
 
 Wi-Fiスイッチを右端の「new」に切り替えると、スクリーン上に現在使えるWi-Fiルーターがリスト表示されるので、任意のWi-Fiルーターを選択してパスワードを入力して決定するだけだ。必要がなければ普段はWi-Fiスイッチを「off」にしておいても構わない。
 
 今後、普通にWi-Fiを使用する時は「on」の位置で使用する。あらかじめ設定しておいたWi-Fiの電波が見つかり接続されると、E-INKスクリーンの下の小窓に表示されているユーザーのメアドの前後にハイフンとして接続の表示がされる。Wi-Fi電波を見失うと、ハイフンが途中で分断された状態になる。
 
 基本的に入力した文字データは、Postboxやユーザーが任意で指定したDropbox、Google Drive、Evernoteなどのオンラインサービスにアップロード同期されるが、最初はそれらのデータはFREEWRITE内の3つの記憶エリアに保存される。
 
 保存される3つのフォルダーはユーザーが自由に選択できるが、あくまでそのフォルダーはA、B、Cの3つだけ。ユーザーはニューファイルを作成する前にE-INKスクリーンの左側にある「folder」で「A」「B」「C」のいずれかを保存先として選択する。
 
 筆者は、今のところそれほどこだわって決めていないが、いずれは原稿のドラフトを「A」に、ちょっとした思いつきやヒラメキの文書を「B」に、そして「C」は何か特別の使途を思いつくまで空けておこうと考えている。
 
キーボードはチェリーの茶軸
 さて、FREEWRITEのウリは、前述の原稿書きを邪魔するSNSもウェブサーフィンもメールもできないので、脇目もふらずガンガンと文書の打ち込みに集中できることだ。
 
 そのためには極めて大事なキーボードも最高のモノが付いている。見たところ、スペースバーの左右に多少ユニークなキーが並ぶちょっと変則的なキーボードだが、慣れてしまえばキータッチは最高だ。
 
 気になったのでキートップを引き抜いてみたら、やはりチェリーの茶軸だった。筆者個人的には、もっとカチャカチャ言うクリッカブルな青軸だったら悶てしまうほどうれしいのだが、少し残念だ。
 
 素晴らしいキーボードを備えたスマートタイプライターだが、残念ながら筆者にとって母国語ではない英語仕様だけ(正式には)なので、極めて使い道が限られてしまう。
 
 FREEWRITEは発表出荷時からマルチランゲージのサポートを公言していた。日本語はまだベータ版の扱いだが、パソコンでPostboxにログインして、キーボードランゲージの選択のページで「Japanese[Beta]」を選択するだけで、FREEWRITE上で日本語を扱えるようになる。
 
 日本語入力のためのIMEの起動は「NEW」+「SHIFT」キーのコンビネーション。その状態で入力すればシングルバイトの英語入力となり、チルドキーを押すことでローマ字かな変換入力となる。
 
 英文字と日本語の切り替えはチルドキーのトグル操作なので、極めて簡単に切り替えが可能だ。
 
原稿はクラウドサービスへの転送も可能
 さて最後になったが、入力した文書はひとまず本体内蔵のストレージのA、B、Cのいずれかに入るが、Wi-Fiが機能している環境で、キーボードのスペースキーの右側にあるsendキーを押すことで、即座にPostboxに転送される。
 
 Postboxに送られたデータをユーザー指定のクラウドサービスであるDropboxやGoogle Drive、Evernoteに再転送するには、先程の日本語環境の設定と同じく、Postboxの設定ページに進み、お好みのクラウドサービスを選ぶだけでいい。
 
 ユーザーはPostboxに入って、すでにFREEWRITEから転送されてきているファイルをデフォルト転送先として指定していないほかのクラウドサービスにもその場で転送できる。
 
 Dropboxに転送されたデータを見てみると、データはアプリフォルダー内の「Postbox」というフォルダーに格納されている。
 
 Postboxの中身を見てみると、筆者がFREEWRITEの物理ダイアルで指定した「A」と「B」のフォルダーが作られており、その中には正しく文書ファイルが格納されていた。
 
 タップすることで内容を確認、編集することが可能だ。また入力した文書がクラウドに送られるとほぼ同時に、ユーザーには添付ファイルとともにメールで知らされる手際のよさだ。
 
文章の途中での修正や追加変更は不可能
そこまで思い切ったライティング専用機の魅力
 すでにお気づきのように、FREEWRITEは快適なキーボードで、SNSやウェブサーフィン、メールなどの邪念を取り払い、とにかくガンガンとイマジネーションのおもむくまま文書入力を行ない、ドラフト文書を短時間で書き上げる目的で企画開発されたクラウド時代のスマートタイプライターだ。
 
 チェリーの茶軸のキーボードは、携帯端末では昨今見ることのない素晴らしいキーイン感触だが、バックスペースキーのみで、カーソルキーのサポートもない。
 
 それゆえ、文章の途中に戻って修正や追加変更は不可能だ。いや、あえてそうしているところが“究極のドラフトマシン”なのだ。
 
 なので、FREEWRITEのローカルストレージに残った下書きに書き加えることを除いて、アップロード済みの下書きを、何らかの方法で再度ダウンロードして書き加えたり、修正するというごく普通の芸当も当初から製品の設計企画プランに入っていないのだ。
 
 そういう事がまったくできない思い切った設計思想だから素晴らしい! という発想の転換が必要な機器である。
 
 文書の修正やパラグラフの移動や文書自体を鼓舞することは、パソコンでやれるだろう……というのが発想の原点なのだ。
 
 カーソルキーが使えない……ということをFREEWRITEを拒絶する材料にするか、そこでもう一度なぜなのかを考えて、無の境地で1.8kgを持ち歩くかは貴方次第だ。
 
今回の衝動買い
 
アイテム:
FREEWRITE Smart Typewriter
 
価格:直販サイトにて5万6838円
 
T教授
 
 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
 
文● T教授、撮影● T教授

最終更新:7/19(水) 12:12
アスキー