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銀行の未来を切り拓く「AI運用法」 重要なのは「組織の○○○○」を断ち切ること

7/12(水) 17:10配信

ZUU online

「あと10年で消える職業、なくなる仕事」週刊誌でそんなタイトルを目にした。堂々の1位は銀行の融資担当者である。正直この手の週刊誌の記事には違和感を覚えることが多いのであるが、今回は同意せざるを得ない。

実際のところ、私の勤務する銀行でも将来に不安を感じている者は少なくない。「10年経たずとも、我々がやっている仕事なんてなくなっているさ」そんな酒の席での話が冗談とは思えなくなっている。そこまで銀行員の不安をかきたてる最大の理由はAI(人工知能)の普及だ。「AIは銀行員の生活を脅かす敵である」そう考えている者さえいる。だが、私の考えは少し違う。

AIによって淘汰されるべき人間はほかにいる。上手く運用すれば銀行の未来も切り拓くことができるはずだ。

■銀行の未来にとって「意味のない人々」

AIは銀行員の敵か味方か? ひとくちに銀行員といっても様々である。それぞれのポジション、境遇によって意見も分かれるところだろう。だが、「金融商品販売」の最前線に立つ私にとって、AIは敵ではない。それどころか、AIは心強い味方になる可能性を秘めている。少なくとも私はそう考えている。

残念ながら未だに営業の現場に「根性論」を持ち込む経営幹部が少なくない。経営幹部だけではない。一日にどれだけの件数の顧客訪問を行ったか。どれだけの推進対象先をリストアップしたか。そうした意味のない「数字」を評価基準としている残念な管理職のなんと多いことか。

私に言わせれば、銀行の未来にとっても、社会的にも意味のない「根性論」「数字」にこだわり続ける彼らこそが無意味な存在である。AIはそんな無意味な存在を一掃してくれるに違いないと私は期待するし、そうしなければならないと考えている。

■「真に顧客本位の業務運営」を実現するために

もし、銀行の金融商品販売の現場にAIが導入されれば、営業活動はどう変わるだろうか。新しく導入された投資信託を販売する状況を想定してみよう。

まず、AIは新しい投資信託を購入する「可能性の高い顧客」を抽出してくれるだろう。やみくもに対象先を抽出するのではない。顧客がこれまでどのような投資行動を行ってきたか。過去にどのような種類の投資信託を購入したか。どのような相場環境下で投資信託を購入してきたか。そして、預金残高に対しどれくらいの比率で投資を行ってきたのか……それらデータを精査し、どの程度の金額での提案が「最も購入につながる可能性が高いか?」分析してくれるだろう。

そこには、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」的な根性論は存在しない。しかも、こうした分析を繰り返しながら、AIはどんどん学習し、その精度は加速度的に高まるのだ。それは換言すれば顧客志向、すなわち「真に顧客本位の業務運営」の実現をもたらすことになる。金融庁が掲げるフィデューシャリー・デューティーとも一致するはずだ。

もとより、現場の最前線に立ち、お客様と直接向き合っている我々にとっても「真に顧客本位の業務運営」は望むところでもある。「営業は根性だ」と圧力をかけてくる経営幹部や管理職をAIが一掃してくれるのなら、現場はどれだけ救われることだろう。

■AIが銀行の未来を切り拓く?

銀行の金融商品販売の現場は、本部に支配されている。強大な権力を有する「本部の命令」は絶対であり、逆らうことは許されない。

本部の人間は「自分たちの成果をアピールする」ために次から次へと命令を下す。そして報告を求める。だが、その命令には必要性を感じないものが多い。最前線の現場は、本部の「無意味な命令」に多くの時間と労力を奪われる。もし、こうした「無意味な命令」ついてAIが優先順位をつけてくれたなら、どれだけ銀行業務の効率化が図れるだろう。本部の「無意味な命令」を迷惑フォルダに自動的に振り分けてくれたなら、どれだけ気分良く仕事ができるだろう。

人間とは心の弱い生き物だ。愚かな生き物だ。会社にとって、社会にとって本当に重要なことではなく、組織のしがらみが優先されるケースなど日常茶飯事である。銀行はもちろんのこと、あなたの会社だってきっと同じことが当てはまるはずだ。これからの時代、そんな「人間の心の弱さ」を補完し、組織のしがらみを断ち切る方向でAIが運用されるのであれば、ひょっとしたら銀行の未来を切り拓くことができるのかも知れない。(或る銀行員)

最終更新:7/12(水) 17:10
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