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根拠は曖昧 北米だけでヒアリ死者年間100人はホントか

7/12(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「子どもが心配」「しばらくは公園で遊ばせられない」

 東京・大井埠頭でも発見され、“殺人アリ”と連日、ワイドショーなどで報じられているヒアリ。アルカロイド系の毒を持ち、米国では1000万人以上が刺され、100人が死亡しているとも報じられる。

 だが、本当に怖い昆虫なのかと素朴な疑問が残る。死者100人と言われれば主婦がパニックを起こすのも分かるが、そもそもこの100人はどこからきたのか。

 環境省では、「100人という数字は確認できていない」(環境省外来生物対策室)という。この時点で数字の根拠は怪しくなるが、なぜか東京都は、「毒に対してアレルギー反応を起こす例が、北米だけでも年間1500件近く起こり、100人の死者が出ている」(自然環境部計画課)とはっきり明記している。

 情報源をたどっていくと、アリを研究する米生物学者スティーブン・ベルトン氏の一冊の著書に行き着く。推計値として死者100人と出ているが、別に根拠のある数字ではない。そもそも人口3億2000万人の米国で、年間1000万人以上の人が刺されているというのも、フツーに考えれば刺され過ぎだ。

 ヒアリが急に今年に入り日本へ上陸したとも考えにくい。ヒアリは台湾、中国、フィリピン、オーストラリアでも繁殖しており、コンテナ船に乗って世界中を行き来している(6月に兵庫県で確認されたのは、中国・広東省からのコンテナ船)。日本でヒアリへの警戒が高まったのは10年以上も前のことで、09年に環境省も「ストップ・ザ・ヒアリ」と注意を呼びかけている。すでに“上陸”していたと考えるのが常識的で、だとすればその間、刺されたり、死亡したという報告があっていいはず。“殺人アリ”というのは、やっぱり言い過ぎではないか。

「他のアリに比べ、ヒアリの生存力が特に高いわけでもなく、薬剤抵抗性も特別強いわけではありません」(アース製薬広報担当者)

 ちなみに、日本ではスズメバチなどのハチに刺され、15年は23人が死亡している。こちらの方がよほど怖いかも。