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今さら聞けない、RPAとAI、botの違い

7/12(水) 10:56配信

ITmedia エンタープライズ

 RPA(Robotic Process Automation:ロボティクスプロセスオートメーション)について、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービスマネジメントのフレームワーク)の視点から考えてみたいと思いますが、今回は事前知識として、RPAとは何かについて確認しておきしょう。

【画像】RPA、AI、botの違いをまとめてみると……

 RPAに似ている技術として、botとAIがよく引き合いに出されます。全て、「自動的」というキーワードでくくられがちなため、区別なく話題に登場することもありますが、その本質は大きく異なります。

●ルールベースのRPA、判断ベースのAI

 何かを自動処理させたい場合、「人の手によって処理フローを全て定義するか」「蓄積された内部データと照らし合わせて都度システムが判断するか」のいずれかで実現します。このとき、前者をルールベースの自動化、後者を判断ベースの自動化と呼びます。

 判断ベースの自動化では、人の手によってデータ判断ルールを実装する方法と、システム自体がそれ自身で判断ルールを見つけていく方法に分かれます。前者によって生み出された技術の典型例がchatbotであり、iPhoneの「Siri」が該当します。音声を取り込み、それを自然言語処理によって文意を抽出し、パターンマッチングで最適な回答を返します。また、後者はAIという言葉が意味する一般的な対象であり、「IBM Watson」が有名です。

 世の中では、機械学習を行うAIまでを含めてRPAとする考え方もありますが、ここでは、狭義のRPAを「ルールベースの自動化」による範囲と定めます。そして、ビジネスの現場で、今、活用が急速に広まっているのは、この狭義のRPAです。

 図示すると次のようになります。

※なお、狭義のRPAについては、アクセンチュアの信方章吾氏の記事がよくまとまっていると思いました。

RPA

 人間が行うデスクトップ画面上の操作を、ルールに基づいて自動的に再現する技術(ロボティックプロセスオートメーション)です。各システムで操作が閉じることなく、ウィンドウをまたいでコピー、貼り付け、システム間のデータ交換が可能です。RPAを実行するためのシステム環境(OSバージョン、Javaや.NETなどのランタイムバージョン)が保たれるよう、ユーザーやIT管理者によるメンテナンスを必要とします。

 RPAの導入企業としては、三菱東京UFJ、オリックス、日本生命(ロボ美ちゃん:請求書データ入力に活用)、リクルートコミュニケーションズ(メルマガのコンテンツチェックに活用)、三井不動産リアルティ(スタッフ報告受理対応に活用)などが挙げられます。

bot

 人間の会話や行動をシミュレートするコンピュータプログラム(チャットロボット)の略称です。chatbotは実際の人と通信しますが、2つのchatbotが互いに通信できるアプリケーションも開発されています。botが動作するためのシステム環境が保たれるよう、IT管理者によるメンテナンスを必要とします。

 最近では、AppleのSiriやMicrosoftの「Microsoft Bot Framework」をはじめ、フロムエーの「パン田一郎」、Microsoftの「りんな」、ヤマト運輸の荷物問い合わせbot、ローソンの「あきこちゃん」などに活用されているLineの「LINE BOT」、CNNなどが利用しているFacebook(Facebookメッセンジャーbot)、LOHACOの「マナミさん」、WOWOWの「コンシェルジュ」、ライフネット生命の「ラネットくん」、Clara Labs(Clara)の会議調整botなど、多くのサービスで利用されています。

※参考:chatbotを大量に収集・紹介しているサイト

AI

 AIは、大規模なデータセットを感知し、理解し、行動し、学ぶことができるアルゴリズムでできています。AI技術は、結果を提供するため、大量のデータ(コンピュータビジョンや写真/ビデオなど)を組み合わせ、ひも付づけて分析できます。人間よりも効率的にタスクを実行でき、自己学習機能も持ち合わせています。AIもやはり、IT管理者によるコーディングとメンテナンスが必要です。

 最近のAIの実用例としては、IBMのWatson、Microsoftのコグニティブサービス(先日、『ミズ・パックマン』を史上最高得点でクリアしたのは同社AI)、IPSoftの「Amelia」、SAPの「Clea」、Oracleの「AIA」、Salesforceの「Einstein」、日立ソリューションズの「リテシア」などが挙げられます。

●AIの先にある「インテリジェント自動化プラットフォーム」

 1つの整理方法として、RPAからAIまでを同一線上に並べたとき、ビジネスシーンでの活用には、さらに「インテリジェント自動化プラットフォーム」というレベルで業務量の増減に対応できる存在にまで昇華できるものと考えられます。

(1)プログラムによる処理

 都度作成される一時的な小規模自動化ツール(例:スクリプト、マクロ、バッチ、ミニボット)

(2)RPAによる自動化

 通常業務レベルに耐える自動化を実現するツール

(3)AIによる自動化

 機会学習、自然言語処理によって自動応答するシステム

(4)インテリジェント自動化プラットフォーム

 業務量の増減に対応した柔軟な体制を支える自動化基盤

 将来目指すのは、インテリジェント自動化プラットフォームですが、その前に実現しなければならない壁があります。それがRPAです。

 ITILの考え方に沿ってRPAを受け入れるには、初期設定に基づく運用だけではなく、キャパシティー管理に基づくRPA用リソースの増減を管理し、必要に応じてシステムリソースの自動増強を図る必要があります。

 この振る舞い自体をプロビジョニングのRPAとして実装することは、2.から、一足飛びで4.を簡易的に実現するアプローチになるでしょう。